《TOFU magazine 旅する岐阜 04》/【岐南町】アジャーラー 岐南店

TOFU magazine 04」に掲載した特集記事をご紹介しています。
岐阜県の42市町村を1号につき一つずつめぐる特集「旅する岐阜」。第4回は岐南町にあるカフェを訪れました。

《旅する岐阜04 Ginan》

岐南町の住宅地にひっそり佇む
カフェにはじまる新たな日常

店主夫婦

岐阜県羽島郡岐南町は、岐阜市に隣接する県下で2番目に面積が小さいまちで、人口は2万5千人ほど。

そんな岐南町の閑静な住宅地の中に2017年にオープンしたカフェ「アジャーラー 岐南店」。“大人のための落ち着いた空間”というコンセプト通り、年配のご夫婦や女性客がゆったりと食事を楽しみ、心を休めていく。

アジャーラー ランチ
アジャーラーランチ 税別1,680円(スープ、パン、季節野菜やデリの盛り合わせ)

同じ建物の2軒隣にある「おもちかえり店 ajara」は、まるで絵本の世界に迷い込んだかのようなファンタジックな外観が目印。

店内では、オーガニック野菜などを使ったデリやお弁当、パン、デザートを販売している。

お持ち帰り店

この数カ月、世の中はコロナウイルスの影響を受け、それまでの価値も経済も日常も、すべてが大きく揺らいだ。両店を営む柚木覚瑠(ゆうのきさとる)さんと那実さん夫妻もまた、売上の激減やカフェの営業自粛といった苦境に直面した。

しかし、二人が取った行動は意外なものだった。県内の学校の3月2日からの休校が発表された2月28日の夜、お店のウェブサイトにこんな文字が並んだ。

「少しでもママさんの負担を減らせますように。微力ながらお弁当配達します!」。

ワンコイン弁当

それは、休校期間中の平日の昼に、岐南町と隣の笠松町内にワンコイン弁当を1個から配達する、というものだった。

「とにかく、子どもたちのことを真っ先に考えたんです」。

店主ご夫婦

実は二人には高校生から0歳まで5人の娘がいる。自身も急な長期休校に不安を抱える母親の一人だった那実さんは、同様に困っている人に、手頃なお弁当を一つからでも届けようと決めた。

彩りの良い野菜と肉や魚を使ったアジャーラーらしい手作り弁当を、育ち盛りの子どもたちにも喜んでもらえるボリュームで。採算は度外視。でも今は、地域に恩返しをする時だ。

アジャーラー 岐南店外観

「玄関で500円玉を握って一人でお弁当を待ってくれる子もいて」。さらにオフィスや高齢者世帯へも自ら弁当を配達した。そのエネルギーはどこから来たのだろう。

「忙しくしてるのが性に合うんですよ」と笑う那実さん。「それに、誰かに喜んでもらえるならいいかなって思っちゃうんです」。

もう、愛ですよね、と照れながら呟いた言葉が、心の奥に響く。

カフェ店内

5月初旬に、1カ月以上休業していたカフェを予約優先で再開した。「ずっとお弁当やテイクアウトを続けたことで、カフェの意味に気付いたんです。お客様は料理だけじゃなく、この空間と時間も楽しむためにここに来てくれていたんだって」。

そんな気付きから、今後はカフェをより進化させるという。ここからまた、新しい日常がはじまっていく。

アジャーラー 岐南店
羽島郡岐南町みやまち2-91 フォルテ808
9:00~18:00(LO17:30) 火曜定休
TEL.058-214-3755 https://cafe-ajara.com/

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2020年07月17日作成
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