《TOFU magazine 旅する岐阜 24》/【羽島市】テキスタイルマテリアルセンター
「TOFU magazine 24」に掲載した特集記事をご紹介しています。
岐阜県の42市町村を1号につき一つずつめぐる特集「旅する岐阜」。第24回は羽島市を訪れました。
《旅する岐阜24 Hashima 》
世界に誇る日本の生地と素材で
“ファッションの力”を伝えたい
岐阜県南部に位置する羽島市は、一級河川の木曽川を挟んで対岸の愛知県一宮市などの尾張西部エリアとともに「尾州」と呼ばれ、国内生産量の約8割を占めるほどの毛織物産地として知られる。その羽島市に2008年にオープンした「テキスタイルマテリアルセンターは、全国から集めた約11万7千点もの生地サンプルを展示する日本最大のテキスタイル資料館だ。
「東京で行われる全国展をはじめ、国際見本市の『インターテキスタイル上海』、『ミラノウニカ』などに出展した国内メーカーのサンプルを中心に、毎年、新たに生み出され生地や素材が2千点以上、ここに集まります」。当初からセンターの設立や運営に尽力してきた岐阜県毛織工業協同組合専務理事の山田幸士さんが案内してくれた。
広々とした展示室には、あらゆる生地サンプルがびっしりと並ぶ。天女の羽衣をイメージした超軽量の透ける生地、斬新なデザインを織り込んだアート作品のようなジャガード生地、複雑な織りの生地も多く、テキスタイルの奥深さ、その可能性の無限さにただ圧倒されてしまう。
実は日本で作られている高品質の生地や素材は、ファッションの本場イタリアに並ぶほど海外でも高く評価されている。しかし、ファストファッションの台頭で中国やアジア各国で生産される画一化され、量産される安価な生地に押され、国内市場は最盛期の10分の1以下に縮小されている厳しい現実もある。
「だからこそ、尾州の毛織物に限らず、たとえば北陸の合繊、九州のやめ絣、岡山のデニムなど、各産地の優れたテキスタイルやマテリアルと情報をここに集約して、国内の産地を繋ぎ、日本の素晴らしいテキスタイルを広く発信する役割を担う場所を目指して、このセンターが設立されたんです」。
国内外の名だたるデザイナー、メーカー、バイヤー、若手デザイナー、業界の未来を託される服飾専門学校の学生。日々、さまざまな人々が訪れる。それはここがファッションのアイデア、商品開発のヒントが詰まった素材の宝庫だからに他ならない。
「ファッションって、自分を表現し、前向きに生きる力を与えてくれるものなんだと思います」。
そんな山田さんの言葉に、はっとする。確かに、ここにある生地一つひとつが自由で、楽しく、その中のどんな生地を纏うことが自分らしいのか考えると、わくわくする。ファッションとはこのわくわくする気持ちなのだ。
「この場所で〝ファッションが持つ力〞を、素材を通してもっと多くの人に知ってもらいたいんです」。
テキスタイルマテリアルセンター
羽島市竹鼻町蜂尻448
平日9:00~17:00(電話にて要確認)
TEL.058-391-8511
https://matesen.com/
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