《TOFU magazine 旅する岐阜 37》/【下呂市】咖喱奔放

TOFU magazine 37」に掲載した特集記事をご紹介しています。
岐阜県の42市町村を1号につき一つずつめぐる特集「旅する岐阜」。第37回は下呂市を訪れました。

《旅する岐阜37 Gero》

世界を旅して生まれた
華麗にして奔放なるカレー

その盆の中にはカレーの宇宙が滔々と広がっていた。光夫牛レモンキーマ、とうもろこしとヨーグルトの中東煮込み、鰹節 酒粕 縮緬雑魚(ちりめんじゃこ) 牛蒡(ごぼう) 七味 和食材印度咖喱(カレー)、サバとズッキーニのパキスタンカレー。なんて圧倒的な混沌と迫力!

下呂温泉で知られる下呂市。温泉街から車で約20分、緑深い山の中にある小さな集落に2017年に家族で移住した中村宙樹(ひろき)さんは、地域おこし協力隊員として3年間活動した後、カレー屋「咖喱奔放(カレーホンポウ)」を開いた。

山口県で生まれ、2歳から兵庫県で育つ。大学生の頃にバックパッカーとして東南アジアやヨーロッパを旅し、25歳のときには自転車でユーラシア大陸横断を決行。山口県の下関港からフェリーで韓国へ渡り、中国からポルトガルのロカ岬まで、アジア、中東、ヨーロッパを約7ヶ月間で走破。

日々、たくさんの人と出会い、励まされ、笑い合った。旅先で出会う料理にも興味が湧いた。「日本も北から南まで、少しずつ食の文化って変わっていくでしょ。世界でも同じで、その土地の文化や民族、宗教、歴史によって食が変わっていくんです」。

帰国後、イタリア料理店やパクチー料理店に勤め、32歳で神奈川県に自身の店をオープン。やがて子どもが生まれたこともあり、田舎の古民家で店をやりたいと移住先を探し、飛騨川の美しい景観に惹かれて下呂市に移り住んだ。

宙樹さんのカレーには、そんな旅の記憶が散りばめられている。「大陸を横断して気付いたんです。スパイスで炒めたり、煮込んだものは大体、どれもカレーなんだなって(笑)」。タイがフランス領だったらこんな料理が生まれたかな、日本とインドを掛け合わせたら…などとも妄想し、厨房で独り言を呟きながら、地元食材とスパイスを組み合わせていく。

開店から3年9ヶ月で作ったカレーは500種類以上。常時12種類は仕込むが、無くなったものから新しいカレーに変えるため、1ヶ月でメニューが総替えになることもよくあると言う。

世界を旅するカレー。食べるほどに味覚や嗅覚が、ぐんと呼び覚まされていく。レモンのくっきり爽やかな酸味、とうもろこしの甘み、じゃこや牛蒡の歯応え、だしの風味と追いかけてくるピリリとした辛み。じんわりと広がる刺激、覚醒。

ああ、うまい、楽しい、面白い!汗をにじませ、ひたすらカレーに没入する。これぞまさにカレーの宇宙ではないか!そして、「これから?毎日、もっと面白い、美味しいカレーを作りたいね」。そう笑う宙樹さんは、最高にファンキーでかっこいい。

非常に華やかで思うままに振る舞うという意味の「華麗奔放」が 店名の由来。カレーは1種〜12種の全部乗せまで選べ、4種は1,500円。ドリンク3杯、サラダ、デザートのセットは700円。
※値段は掲載時のものとなります

咖喱奔放
下呂市門佐和459
11:30〜14:00、18:00〜22:00
日・月・火曜定休
TEL.0576-20-4105
http://curryhonpou.com/
Instagram @curryhonpou
※営業スケジュールはInstagramにて要確認

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2025年07月28日作成
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