【岐阜市】岐阜まち歌舞伎顔寄せ手打ち式
2024年1月31日に、「岐阜まち歌舞伎顔寄せ手打ち式」が行われました!
かつて、伊奈波神社の境内には芝居小屋があり、地域に歌舞伎の文化が根付いていました。また、岐阜祭前夜には、町衆によるにわか芝居(いわゆる素人による即興芝居)が上演されて盛り上がったといわれています。そんな歴史的背景から、岐阜町若旦那会では「岐阜祭の宵宮に歌舞伎を奉納し、大祭を盛り上げたい」と、2012年から「岐阜まち歌舞伎」を主催してきました。
2023年の上演の様子
ここ数年間はコロナ禍で上演ができなくなっていましたが、2023年には4年ぶりに伊奈波神社参集殿で歌舞伎を上演。出演者にとっても、観劇した地域の方にとっても、印象深いものになりました。
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そして、今年で11回目を迎える「岐阜まち歌舞伎」。この日は旧麩兵邸で、興行を始めるにあたっての会「顔寄せ手打ち式」が執り行われました。
演者が一堂に集い、今年の演目が発表される「顔寄せ手打ち式」。演者たちが着物や袴を纏った華やかな姿で登場し、夜7時半を回ると、厳かな雰囲気の中で儀式が始まります。
最初に執り行われるのは、昨年の役者から今年の役者へお役目を渡す「年番渡し」です。
まずは昨年の演者が一人ずつ昨年の舞台の感想を述べ、続いて今年の演者が自己紹介をします。
8年ぶりの出演で主役を務める大平米穀店の大平雅章さん、麩兵の川島徹郎さんに続き、特別出演が決まった岐阜市長の柴橋正直さん、吉岡株式会社の吉岡源一郎さん、善光寺安乗院の松枝杏和さんと松枝紗良さんが自己紹介。
実は、柴橋市長は2011年に出演する予定でしたが、東日本大震災が発生したため上演は中止に。以来13年の年月を経て、ついに今年、岐阜まち歌舞伎の舞台に立つことになりました!また、松枝杏和さんは小学2年生だった2017年以来の出演で「あの(舞台からの)景色が忘れられなくて。今回も頑張ります!」と気合十分。
挨拶が終わると、盃が用意され、お清めの酒が注がれます。まずは昨年の演者たちがぐいっと一口。続いて、今年の演者も口をつけ、盃が交わされたら「よろしくお願い申し上げます」と深くお辞儀をして、無事に役が引き継がれました。
*松枝杏和さん、松枝紗良さんには水が用意されました。
続いては、毎年歌舞伎の指導振付をされている二世 尾上 幸松(鳳川伎連 喜久次)さんから演目が告げられます。
今年の演目は、「有難恵景清(ありがたきめぐみのかげきよ)」。
天照大神(アマテラスオオミカミ)の岩戸隠れと手力命男(アメノタヂカラヲ)の怪力伝説を元に作られた「岩戸景清」という歌舞伎の演目で、2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主役だった江間小四郎泰時や畠山重忠が登場します。
見どころは、暗闇の中で探り合いをする「だんまり」という歌舞伎独特の演出。台詞が少ないのが特徴です。巫女たちが舞う場面もあるということで、華やかな舞台となりそうです!
ちなみに「岩戸景清」は、天保の改革で贅沢禁止令に触れ、江戸から追放されていた七代目團十郎の江戸復帰を記念して作られた作品。團十郎が岐阜町での伊奈波芝居興行をしていた最中に幕府から赦免の知らせが届いたことや、團十郎は岐阜町での興行途中で江戸に帰ってしまいましたが、残された役者は興行主から「3月3日(旧暦)までは残って、岐阜祭を観ていってほしい」と促されて留まり、興行の合間に子ども歌舞伎の指導を行ったという記録があるなど、岐阜町とゆかりが深い演目です。
もちろん、今年も役名に本人の名前や所属が入っていたりと、地元ネタも満載ですよ!
最後は演者みんなで手打ちをして、顔寄せ手打ち式は終了。今後、出演者のみなさんは約2ヶ月間、個人や全体で稽古を重ね、本番を迎えます。
毎年大盛況の岐阜まち歌舞伎。4月4日は会場の伊奈波神社参集殿に足を運んで、岐阜町若旦那会の舞台を楽しみましょう!観覧は予約不要ですが、席が限られるため、当日は早めに並ぶのがおすすめです。
第11回 岐阜まち歌舞伎
開催日:2024年4月4日(木)
時間:18:00(開場)18:30(開演)
会場:伊奈波神社参集殿 稲葉座
入場:無料(予約不要)
※当日会場には駐車場はございません
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