《TOFU magazine 旅する岐阜 01》/【土岐市】KANEAKI SAKAI POTTERY

TOFU magazine 01」に掲載した特集記事をご紹介しています。
岐阜県の42市町村を1号につき一つずつめぐる特集「旅する岐阜」。第1回目は土岐市にある小さな陶芸工房を訪れました。

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《旅する岐阜01 Toki》

日本一のやきもののまち
土岐市で生まれる暮らしのうつわ

訪ねたのは、思いがけず小さな工房だった。

日常の暮らしにすっとなじみながらも、いつもの料理が少し特別に思えるような美しいうつわの数々を生み出し、注目を集める「KANEAKI SAKAI POTTERY」。

岐阜県土岐市は、日本最大の陶磁器の産地として知られ、「織部」「黄瀬戸」「志野」といったさまざまな美濃焼が作り出されるやきもののまち。

美濃焼の歴史は古く、1300年以上とも。市内にはあちこちに窯元が点在し、のっぽな煙突が空に向かってノスタルジックにそびえ立っている。

明治34年創業の金秋酒井製陶所もまた、土岐市泉町で100年以上続く長い歴史を持つ製陶所。

「最盛期に比べたら、今では美濃焼の生産量はかなり減っています。この地域でも随分、窯元がなくなりました。でも、地域に残った窯元として、なんとしてもやきものの文化を守っていかないかんと思うんです」と代表の酒井教雄さん。

「そのために、若い女性に託す新ブランドとしてKANEAKI SAKAI POTTERYを立ち上げました。でも、それは河野がいるからこそ成り立っています」。

酒井さんから全幅の信頼を得る河野季菜子さんは、工場の傍にある工房の静寂の中でロクロに向かっていた。窓から朝の光が注ぐ。

「ここで作業をしてると、人と話すことがあんまりなくて。引きこもり気味なんです」。

照れたように笑う彼女に、凛とした工房の空気がふわりと緩んだ。

「ここに来たのは7年ほど前です。高校から陶芸を始めて、芸術大学を出て、職業訓練校でロクロの技術を身につけて」。

偶然、ハローワークで金秋酒井製陶所を見つけ、就職を機に故郷の京都から引っ越してきたという。

「土岐には今まで製陶業界を支えてきた職人さんがいっぱいいるんです。分業制なので、土屋さん、釉薬屋さん、素地屋さんなど、それぞれのプロがいて相談できる。おかげで作りたいものに挑戦することができます」。

土の種類や釉薬の配合、窯の温度、焼き方。複雑な要素に仕上がりが左右される。

幾度とない試作や失敗を乗り越え、多くの先輩職人に助けられながら、彼女はひたむきに、実践の中で技術を培ってきた。

「飽きがこないスタンダートさに、ちょっとだけ個性を入れた、ほかにはないものを作りたい」。

そんな想いから誕生したKANEAKI SAKAI POTTERY。

これまでになかったマットな質感や、シンプルでありながら独特の愛らしさを持つフォルム。

slants Mサイズ 各1,600円、flat mug Sサイズ 各2,400円、はしおき 各500円(税別)

彼女の挑戦から生まれたうつわが、わたしたちの暮らしにそっと寄り添い、彩りを与えてくれる。

KANEAKI SAKAI POTTERY
土岐市泉町久尻1169-1 (工房のみ・直販はしていません)
TEL.0572-55-2736 http://kaneaki.com/


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KANEAKI SAKAI POTTERYのうつわの一部は、岐阜ホール ONLINE STORE で購入いただけます。

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2020年04月22日作成
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