《TOFU magazine 旅する岐阜 34》/【輪之内町】conco8 森島冬樹

TOFU magazine 34」に掲載した特集記事をご紹介しています。
岐阜県の42市町村を1号につき一つずつめぐる特集「旅する岐阜」。第34回は輪之内町を訪れました。

《旅する岐阜34 Wanouchi 》

自分が生まれ育ったまちを
面白くしたいんです

こんなにも屈託なく楽しそうに笑い、熱く語る人と出会ったのは、いつぶりのことだろうか。「どうせやるなら全力で」「僕が笑顔で、みんなも笑って暮らせたら、一番いいよね」。そんな熱のこもった言葉が、次々とあふれる森島冬樹さん。

まちの半分を農地が占め、古くは徳川将軍家に献上する御膳米(ごぜんまい)を産出していた歴史がある輪之内町で、団子屋「conco8(コンコヤ)」を営む。家族とともに耕す田で収穫した岐阜のブランド米「ハツシモ」の米粉と水だけで作る〝米農家の団子〟は、まちの新名物として評判を呼んでいる。

全国でフードコートなど多業態の飲食店を展開する会社に就職し、7年間、飲食業の経営を学んだ後、独立。自分が生まれ育ったまちを面白くしたいと、米粉クレープの移動販売「ティアレ」を始め、移動販売車仲間とイベントの企画・運営を行う「フードポーターズ」を結成して、地元で花見やビアガーデンなどを開催。やがて、団子の移動販売をしていた仲間から車や道具を一式譲り受けたのをきっかけに、約1年の試作を経て完成した団子の移動販売もスタート。

2019年、輪之内町にオープンした親子連れに人気の木育施設「森のわくわくの庭」の一角に店を構えた。「観光地でもないまちにこんな施設ができて、県外ナンバーの車も来てくれる。ありがとう!って気持ちです。だから、ここで団子を作って、来てくれる人をお迎えしようと思って」。

団子は種類ごとに火の入れ方を変える。「みだらし」はこまめに回転させながら焦げ目を付け、飛騨高山の醤油にくぐらせて二度焼きに。「あんこ」は出来るだけ転がさず、片面ずつ焼き切ることでカリッとした食感を際立たせ、特注のかまどで炊く自慢のあんこを盛る。

「きなこ」は団子を茹でることでもっちりと仕上げ、黒大豆と甜菜糖で作ったきな粉をたっぷりまぶす。できたてを頬張ると、どれも思わず唸る美味しさ。艶やかで香ばしく、優しい団子は、なんとも愛おしい。

森島さんは、二女一男の父。「僕、子どものことが大好きなんですよ。だから、子どもたちもその友だちも、ずっとここで暮らしたいと思えるまちにしたくて」。商工会青年部で地域の子どもたちに課外授業をしたり、PTA会長を務めたり、消防団に参加したり。8年前には猟師の資格を取得し、野や川にも分け入る。あまりにも多忙だが、「好きなことなら、なんとかなるもんです」と、また笑う。

自分のまちを愛し、そこでの暮らしを全力で楽しむ。まちにそんな大人がいることは、なんてわくわくする素敵なことだろう。

「みだらし」は1本150円、「あんこ」と「きなこ」は1本200円。焼きたては更に格別の美味しさで、団子の概念が覆される。あんことコーヒーが相性抜群の「コーヒーぜんざい」もぜひ。

conco8

安八郡輪之内町四郷280-1 森のわくわくの庭内
10:30〜16:00 水曜定休
Instagram @conco8_wanouchi

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2024年02月18日作成
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