《TOFU magazine 旅する岐阜 23》/【関ケ原町】HiKOSA

TOFU magazine 23」に掲載した特集記事をご紹介しています。
岐阜県の42市町村を1号につき一つずつめぐる特集「旅する岐阜」。第23回は関ケ原町を訪れました。

《旅する岐阜23 Sekigahara 》

築100年余の民家を改装し
定年後に夢を叶えて開いた喫茶

かつて、日本の歴史を大きく変えた関ヶ原の戦いが繰り広げられ、今も数々の史跡が残る不破郡関ケ原町に、明治時代に建てられた民家を改装した喫茶「HiKOSA 」はある。

まるで祖父母の家を訪れたようなどこか懐かしい心持ちで玄関を抜けると、居間やダイニングなどの襖や扉が取り払われた開放的な空間に、小春日の柔らかな日差しが注いでいた。年季を感じるテーブルや椅子、低いソファ、さり気なく床の間に飾られた絵画。花器には可憐な水仙が生けられている。

「ずっと若い頃から喫茶店を開いてみたいと思っていました。でも、建築会社で事務として定年まで働いていて。退職してから、もう二人の息子も成人しているんだし、やっぱりお店をやろう、と思って。それで、まずは主人に長い手紙を書いたんです」。そう言ってチャーミングな笑顔を見せる草野也子さん。想いを綴った手紙は功を奏し、無事にご主人の理解を得て、自宅からほど近い場所にあった空き家を借りた。

15年以上荷物が置かれたまま一面に埃が積もっていた部屋を、一人で1年ほどかけて掃除し、少しずつ改装を進めて自分の好きな空間へと作り変え、退職から4年が過ぎた2019年8月、長年の夢を叶えた喫茶をひっそりとオープン。

 淹れたてのコーヒーをはじめとするドリンクや自家製プリン、ケーキなどのおやつも、也子さんが一つずつ吟味してメニューに加えたもの。食事は「一汁一菜」に。7分づきの米を炊いたもっちりとしたご飯に、大根や蓮根、人参、ごぼう、さつま芋など季節の野菜がごろごろと入ったお味噌汁。それだけで、十分なご馳走だ。さらにこの日のおかずは、艶やかで張りのある黒豆、ひじき、一晩だしに漬けてバター醤油で焼いた大根。白菜と揚げの炒め煮には、菊芋の酢醤油漬けと味噌漬けが添えられている。

「米味噌と豆味噌、だし醤油、柚子こしょうなど、調味料は市販のものを使わず、みんな手作りしています。おかかやちりめん山椒も、作っておいて、ちょっとご飯に乗せるだけで美味しくて。昔からちょこちょこ作るのが好きなんです。大正生まれの母から継いだ癖なのかな」。

お客さんにはゆっくり過ごしもらいたい。長居をしてもらってもいいんです、と也子さん。「儲けはもちろん必要ですが、私が一人でできる範囲の中でやっています。だって毎日、楽しく過ごすのが一番ですから」。

彼女の生き方は、しなやかで自然で、ちょっと羨ましくて、なんだか自分も歳を重ねて生きていくことが楽しみになる。

食事の「一汁一菜」は800円。自家製味噌を使った味噌汁をはじめ、滋味深い料理をしみじみ味わって。平飼い卵で作る「自家製濃厚プリン」350円も絶品。

HiKOSA
不破郡関ケ原町関ケ原918
10:00~16:00 月・火曜定休
TEL.080-5385-0708

***


「TOFU magazine」は、東京や岐阜を中心とした配布店舗にて入手いただけるほか、「岐阜ホール ONLINE STORE」でも、送料のみでご購入いただけます。(送料がお得な定期便もご利用いただけます。)

TOFU magazineを購入する

TOFU magazineを定期購読する

2022年02月15日作成
関連記事