【垂井町】木工房 結(むすび)/後編
不破郡垂井町にある「木工房 結」さん。前編では工房を見せていただき、椅子などの家具を作っている様子をお届けしましたが、後編では「Cafe 結」さんで、黒川さんの木工作品の中でも定番の人気を誇るシェーカーボックスについて詳しくお話を伺いました!
※「【垂井町】木工房 結/前編」の記事はこちら
「木工房 結」の向かいにあるこの黒い建物が、週末のみオープンする「Cafe 結」です。こんな立派な建物も、4年ほどかけて黒川さんがほぼご自身で建てたというから驚きです。
カフェの大きな窓からは広い庭の木々やのどかな田園風景が眺められ、ゆっくりと時間が流れています。
そして、こちらが黒川さんの代表作でもある「シェーカーボックス」。
シェーカーとは、19世紀を中心にアメリカで活動していたキリスト教の一宗派で、必要最低限のもので自給自足の暮らしをしていたシェーカー教徒のこと。「用の美」を追求した実用的でシンプルなデザインの家具は、近代の家具デザインにも大きな影響を与えました。中でも彼らが生み出した美しいフォルムのオーバルボックスは今も根強い人気があります。
黒川さんはアメリカの木工の本を娘さんに訳してもらいながら紐解き、5年以上をかけて、独学でシェーカーボックスを作り始めました。サイズ違いや木の種類の違うもののほか、オーバルボックスを応用したお弁当箱や裁縫ボックス、トレイなども作っています。
「僕はいろんな商品をオリジナルで作るというよりは、誰かの“こんなものがあったら”という声を聞いて、それを自分の力でどんな風に作れるか考え、形にしています」。高校生の男の子ために大きなお弁当箱を作ったこともあるのだとか!
そんな黒川さんに、シェーカーボックスの制作工程の中でも重要な「曲木」の方法を教えてもらいました。
①薄く木を引き割る
②木を12時間ほど水槽の中に入れておく
③翌日、ヒーターで水槽の水ごと熱して80℃に温め、1時間ほど煮る
④柔らかくなった木を丸めて型にはめ、24時間〜3日ほど乾燥させる
もともとの板は、薄いように見えますが、とても手では曲げられない硬さ。この板を水に浸し、お湯で温めてから型に入れて曲げているんですね。
「難しいのは木の選び方です。柾目のものを使いますが、節があったり、その木の性質で曲がらなかったり、切れや割れが生じたり」。実は全体の7〜8割しか成功しないのだそうです。
板が重なる部分は「スワロウテイル」と呼ばれる切り方で剥がれにくい装飾がほどこしてあり、銅製のビスを使って留めます。このビスもアメリカから取り寄せています。
内側見ると、ビスが留められた場所は小さな点のようになっているだけで、ほとんど分かりません!
また、底の部分も外れないように小さな竹くぎで留めてあるのですが、ほとんど目立ちません。この細かな部分まで美しいことが、黒川さんのシェーカーボックスの特長です。
「シェーカー教徒たちの家から食べるものまで、すべてを自分たちで作っていたという暮らし方のように、木工房やカフェを作って、敷地内にmoilyさんのお店を開いてもらって、この場所から新しい文化を作り出したり、新しいライフスタイルを提案したりしたいと思っているんです」と黒川さん。
ご自身で焙煎しているというコーヒーをいただきながら、黒川さんのお話を伺っていると、“ものづくり”の楽しさだけでなく、自分たちで必要なものをつくっていくことが “豊かな暮らし”につながっているのだと感じました。
夏には木工房の一角でシェーカーボックスなどを展示販売するショールームもスタートするそうです。ぜひ、みなさんも「木工房 結」さんと「Cafe 結」さんを訪れてみてくださいね。
木工房・Cafe 結(むすび)
住所:不破郡垂井町敷原173
TEL:090-7957-3166
WEBサイト:http://ybydw133.cocolog-nifty.com/
※カフェの営業日時などはWEBサイトでご確認ください
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