【さかだちインタビュー】山本佐太郎商店・大地のおやつ「あゆピー」が誕生するまで/前編

明治9年に岐阜市松屋町で創業した老舗油屋「山本佐太郎商店」さんと和菓子職人「まっちん」さんとのコラボレーションから生まれ、今では全国にファンを持つ『大地のおやつ』シリーズ。

かりんとうやサブレ、ビスケットなど、原材料から製法まで、安心安全とおいしさにこだわり、“30年後も愛されるおやつ” を目指して作られるお菓子『大地のおやつ』に新作の「あゆピー」が、2020年11月15日に誕生しました。

そこで今回は、山本佐太郎商店代表の山本慎一郎さんと和菓子職人のまっちんこと町野仁英さんに、あゆピーが誕生するまでのストーリーを伺ったインタビューを2日間にわたってお届けします!

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「あゆピー」は、9年前の谷汲あられの「あゆの種」の商品開発がきっかけとなって誕生した。

-あゆピーは9年の歳月を経て完成したと伺いましたが、どんな経緯があったのでしょう?

山本慎一郎さん(以下:山本) 2011年に僕とまっちんとで、取引先の揖斐郡揖斐川町谷汲にある「だるま堂製菓」さんへ油の配達に行ったのがはじまりです。当時はまっちんが三重から岐阜に来たばかりの頃で、岐阜に住んでいる僕らにとっては当たり前のこと、たとえば、純喫茶がまだ残っていることとかが、実はすごくいいことなんだって気づかせてくれたりしてて。そんな風に、何か人と人との出会いから生まれる価値があるんじゃないかと思って、まっちんを奥田社長に引き合わせたんです。

-だるま堂製菓さんといえば、「谷汲あられ」で有名です。

山本 実は自社ブランドの谷汲あられを作って直売所で販売しているだけでなく、新宿中村屋さんなどのOEMも受けられていて、工場では200名ほどで70〜80アイテムのあられを手がけています。そこで、何か山本佐太郎商店として、まっちんと一緒に新しいあられの提案ができたらと思ったんです。

「あゆピー」の生みの親の山本さん(右)とまっちんさん

まっちんさん(以下:町野) そこで直売所にあった鮎の形をしたあられを見て、柿の種のように、ピーナッツと合わせて「あゆの種」を作ったらどうかな、って思いついたんです。

山本 岐阜らしいお菓子として、長良川鵜飼からイメージして鮎の形をしたあられを作ることまでは意外と簡単に思いつくけど、そこにピーナッツを合わせるっていう発想まではなかなか浮かばない。やっぱり、そういうところがまっちんはすごいというか、面白いな、と思いましたね。

-それが、後に「あゆピー」へと繋がっていくんですね!

山本 はい。でも、まずはそれから3カ月くらい、まっちんがだるま堂製菓さんに通って、奥田社長と一緒に「あゆの種」の商品開発を夢中になってやったんです。

町野 なるべく無添加で、ギフトとしても使えるものを作ろうって思って、本当はギフトボックスも考えていたんです。結局、そこまでは実現できなかったですけど。

山本 とにかくずっと通って、試作を作ってたよね。ようやく、八丁味噌、たまり醤油、チョコレート、しそ生姜、ピリ辛山椒の5種類の「あゆの種」が完成して、谷汲あられの新商品として販売されたんです。当時、まっちんと僕もイベントの「ギフレク」などで手売りで販売したんですけど、あくまでも「あゆの種」はまっちんのアイデアから生まれただるま堂製菓さんの商品ということで、自分たちのブランドのお菓子ではなかったんです。

山本 もちろん、奥田社長にはとてもお世話になって、いろんなことを学ばせていただいたし、今でも谷汲あられの商品としてたくさんの方に喜んでいただいている「あゆの種」の商品開発に携われたことは貴重な体験だったんですが、同時に自分たちにはまだ力量がないことを痛感して、まっちんに対してももっと自由に商品開発ができるようにサポートすることはできなかっただろうか、とも思ったんです。

-なるほど。

山本 そこから、次は “自分たちの手でブランドを作って売っていこう” と考えて、2011年10月に岐阜公園で開かれた「岐阜町(ぎふまち)の縁日」で、まっちんと一緒に作った「油屋のかりんとう」を販売したんです。太白胡麻油で揚げたかりんとうで、洗双糖(せんそうとう)、ごま、黒糖の3種類だったよね。

町野 懐かしいなあ。岐阜町の縁日で、みんながかりんとうを買ってくれて、完売したね。

山本 その「油屋のかりんとう」をブラッシュアップして、山本佐太郎商店のオリジナル商品として、黒糖、和三盆、塩、生姜、黒ごま、天空の古来茶の「大地のかりんとう」を作って、そこから自社ブランドの「大地のおやつ」シリーズへと広がっていったんです。

-つまり、「あゆピー」は「大地のおやつ」の原点でもあったんですね。

コロナの影響で売上げが激減。原点にかえって「楽しいことをやろう!」

山本 昨年はコロナの影響で「大地のおやつ」の売上が激減して、かなりしんどかったですね。商品を販売していただいていた全国各地のお店が休業されてしまい、イベントも軒並み中止。賞味期限がある在庫を抱えて、品質管理も難しく、5月には「オトナ買いキャンペーン」と銘打ってまとめ買いで50%オフのセールをしましたが、それは本来なら、やってはいけないことです。

-苦しい決断だったと思います。

山本 せっかくそれまで「大地のおやつ」を全国に届けようとやってきたことが、楽しく思えなくなってしまった。でも、コロナで消極的になるんじゃなくて、こいうときこそ原点にかえって、楽しいことをやろう!と思い直しました。

町野 自分たちは岐阜にいるんだし、今こそもう一度、原点にある岐阜への思いをかたちにできたらと思って。

山本 そんな時に「大地のおやつ」を気に入ってくださっている俳優の松重豊さんからも「ワクワクする商品を待っています」というメールが届いたんです。それで気持ちもはっきりと切り替わって。

町野 無難にいき過ぎててもつまらないじゃないですか。そうや、曲者(くせもの)になろう、とことん挑戦して自分たちが楽しみながら思いをかたちにする商品を作ろう、と思って。「あゆピー」は、そんな思いから生まれた商品なんです。

-そこで再び、だるま堂製菓さんとタッグを組んで、あゆピーの開発に挑んだんですね。

山本 だるま堂製菓さんとは「あゆの種」でせっかくご縁ができたので、いつか自分たちが成長して、また一緒に何かできたらと思っていました。奥田社長は快く受け入れてくれて、「大地のおやつ」のオリジナル商品である「あゆピー」の製造をだるま堂製菓さんにお願いすることになりました。

「あゆピー」という一つのお菓子が誕生するまでの9年という長い歳月の間には、知られざるストーリーが隠れていました。後編では、いよいよ、あゆピーの商品開発に取り掛かった山本さんとまっちんさんの情熱と奮闘をお届けします。どうぞ、ご期待ください!

※「山本佐太郎商店・大地のおやつ「あゆピー」が誕生するまで/後編」の記事はこちら



「あゆピー」発売&「大地のかりんとう カカオ」全国販売スタート記念!

岐阜ホール「山本佐太郎商店と楽しむ冬ごもり」 開催

2021年は「岐阜ホール」のショップにも新たに、鮎のかたちのあられが可愛らしい「あゆぴー」と、待望の全国販売がスタートした「大地のかりんとう カカオ」が仲間入りしました! そこで岐阜ホールでは、大人気の山本佐太郎商店さんのおやつを集めて販売する『山本佐太郎商店と楽しむ冬ごもり』を開催します。ぜひ、買いにきてくださいね!

会場:岐阜ホール(東京都台東区上野桜木1-4-5 2F)
期間:2021年1月16日(土)〜(売り切れ次第終了) 
営業時間:12:00-17:00(状況により変更の可能性あり)
定休日:木・金曜
販売商品:あゆぴー、大地のかりんとうカカオ、おいものかりんとう、おからのかりんとう、ツバメサブレ、3じのビスケット、ともだちビスケット、[冬季限定]よいこのあんこ、おやつこ
Instagram:@gifuhall Twitter:@gifuhall Facebook:岐阜ホール



山本佐太郎商店

住所:岐阜県岐阜市松屋町17

営業時間:9:00~17:00

定休日:第2・第4土曜、日曜、祝日

TEL:058-262-0432

大地のおやつオンラインショップ:https://www.m-karintou.com/

※「あゆピー」は現在、山本佐太郎商店、和菓子工房まっちん、ツバメヤ柳ケ瀬本店、長良川デパート湊町店、岐阜ホールのみで販売しています

 

2021年01月14日作成
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