岐阜県美術館「アーティスト・イン・ミュージアム AiM2020 三輪祐子」/3月22日まで

およそ1年間の改修工事による休館を経て、昨年秋にリニューアルオープンした岐阜県美術館。

その美術館の南にあるアトリエ(旧実習棟)で2月4日から開催されている「アーティスト・イン・ミュージアム AiM2020 三輪祐子」に行ってきました!

岐阜県美術館アトリエ

アーティスト・イン・ミュージアムとは、美術館や展示会場内にアーティストが滞在し、制作する過程も公開しながら作品づくりを行うというもの。

今回アトリエに滞在する作家は、画家であり、造形なども手がける三輪祐子さんです。

会場の中はこんな感じ。三輪さんは、普段制作を行っている自身のアトリエで使っている机や棚、作業台などをこの場所に運び込むことで、自然体で制作をしているのだそう。

「毎日、最初に壁にかけている日めくりをめくって、音楽をかけて、作業をしながら体をあたためて、1日がはじまります。それから、作品を作りながら、いらっしゃった方とお話をしたり、日々のことを書き留めたり」。

さまざまな気づきや出会いを楽しみながら、制作を行っているという三輪さん。

あちこちにそっと置かれている作品たちは、まるで静かに呼吸をしているよう。訪れた人が作品を眺めながら、いつの間にかほっとするような、おだやかでやさしい空間が生まれています。

三輪祐子さんの制作途中の作品

こちらは制作途中の作品。いくつも色を重ねて、さらにその上から白を塗り、また色をのせて、という工程を経て完成させていきます。

完成している作品

すでに完成していた作品の一部がこちら。白い世界の向こうに立ち現れる、やわらかな気配のような色。

わたと針金を使った作品
針金の作品

わたや針金を使ったオブジェも。見る人によって捉え方は違いそうですが、そうやって自分なりに自由に何かを感じ取れるのも、アートのおもしろいところ。

お話しされている三輪祐子さん

「毎日、初めて美術館に来たという方や、何かを求めて来られた方、いろんな方とお話しができて楽しいです。この場所で、新しい発見や気づきがあったり、ちいさな芽生えのようなものが生まれる、ほんの少しのきっかけを掴んでもらえたら嬉しいですね」と三輪さん。

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作品の中に、ひときわ目を引くものがありました。

辞書の作品

たくさんの付箋が貼られた辞書。

辞書の作品のページを開いたところ

開いてみると、辞書の中の言葉を三輪さんの捉え方で表現した栞(しおり)が挟み込まれています。

実はこの辞書は、三輪さんが成人式を迎えた記念に岐阜市から贈られたものだそう。最初のページには岐阜市長からのお祝いの言葉が!

1980年代を中心に何年間かにわたって成人式で配られたそうですが、とても文化的で粋な時代だったんですね。

(三輪さんは今後、この辞書を使った作品をシリーズで制作する予定で、作品制作のために岐阜市から贈られた辞書をお持ちで、提供しても良いという方がいらっしゃったら、岐阜県美術館へお持ちいただけると嬉しいとのことです。)

アーティストインミュージアムの看板

3月1日(日)までの公開制作中は、三輪さんがアトリエにいらっしゃいます。
また、3月3日(火)から22日(日)までは、できあがった作品が展示され、誰でも無料で観覧できます。

春を感じる季節に、ふらりと心が躍るアートを感じに出かけてみませんか。


岐阜県美術館「アーティスト・イン・ミュージアム AiM2020 三輪祐子」

公開制作:2020年2月4日(火)〜3月1日(日)
作品展示:2020年3月3日(火)〜22日(日)

時間:10:00〜18:00

会場:岐阜県美術館 アトリエ(旧実習棟)

休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)

観覧料:無料

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2020年02月28日作成
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