【多治見】モザイクタイルミュージアム
岐阜県東濃地方は日本有数の陶磁器の生産地。
その中でも多治見市笠原町は日本一のモザイクタイルの生産量を誇ります。
そんな笠原町に2016年にオープンした「多治見市モザイクタイルミュージアム」。
日本を代表する建築家、藤森照信さんが設計を手がけた、個性的な外観はメディアで見かけたことがある方も多いのではないでしょうか?
この形はタイルの原料である粘土の採掘場をモチーフにして誕生したのだとか。
藤森さんは建物の外観を地元の原風景に重ねたのです。
早速、学芸員さんの案内で館内へ。
館内の順路は最上階の4階から順に下に降りていくようになっているので、まずは階段で最上階へ上ります。
上に向かうに連れて幅が狭くなっていく階段は、すごく長く見えます。
光に誘われるようにしてたどり着いたのは、白いタイルが眩しいメインの展示室。
ここには町の有志が長年収集・保存してきた1万点を超えるコレクション中から藤森さんがセレクトした資料が美術館に並ぶ絵画のように収められています。
中には銭湯から引き継いだものもあります。
モザイクタイルがもっともぜいたくに使われた空間は銭湯で、岐阜県内だけでなく東京の銭湯で使われていたモザイクタイルも元をたどると笠原で生産されたものがたくさんあるのだそう。
続いて、学芸員さんにしゃがんでここからの景色を見てみてくださいと言われ、小窓をのぞいてみると……
左下の小窓から、こちらのモザイクタイルの作品に描かれている時計台と同じ景色が見えました!
というのも、この場所はもともと合併する前の笠原町役場だった場所。
このモザイクタイルの作品は、原田大二郎さんが描いた油絵をもとに作られており、油絵には町役場の屋上から見えていた景色が描かれていたのです。
展示室の中でも一際目を引くのが「タイルのカーテン」。
タイルのピースが太陽の光でキラキラと輝く様子はずっと眺めていたくなるような美しさです。
吹き抜けになっているので、時間帯や季節によっても表情が変わります。
「年に数回しか見られませんが、雪が積もったときはとてもきれいですよ。」と学芸員さん。
この日はお天気でよかった! と思っていたのですが、雨に日もタイルに雫がついてきっときれいなんだろうと思います。
続いて3階は、地場産業としてのモザイクタイルの歴史や、工場での作業工程がわかりやすく学べる展示室。
笠原町は横の繋がりが深いのだそうですが、それはタイルが分業制で作られていることと無関係ではないかもしれません。
原料の生産から、成形、焼成、そして販売までをそれぞれの専門業者が行うので高品質のタイルを作ることができます。
タイルは貼り板といわれる枠にはめた後、表の面に紙を貼り、枠から外して乾燥させ、出荷します。紙貼りという工程です。
紙貼りの工程は職人さんの手作業と聞いてびっくり……面積の広いものを思い浮かべると、気が遠くなるような作業です。
同じタイルを使っていても、組み合わせ次第でデザインのバリエーションは様々。
例えば、こちらの2つは全然違う柄に見えますが、よく見てみるとタイルの色とはめ込む方向を少し変えただけなのがわかります。
教えいただかなければ気がつきませんでしたが、パズルみたいでとてもおもしろい!
また3階の展示室では年に3回ほどの企画展も行なっています。
現在は「東京の銭湯とタイル」が開催中です。
「文京建築会ユース」という東京の若手建築家グループが研究してきた東京の銭湯の資料の展示を通して、建築的な観点から銭湯の魅力に迫ります。
4階の展示室に保存・展示されている「おとめ湯」の絵タイルから始まる展示は、一般の人でもわかりやすく解説されているので、ぜひ合わせてご覧ください!
タイルの魅力にどんどん引き込まれていき、最後に案内していただいたのは2階の展示室。
ここはモザイクタイルのショールームのようになっていて、実際に注文してご家庭でも使えるよう、地元のメーカーさんのカタログの閲覧もできるようになっています!
「コンシェルジュカウンター」ではタイルのことならなんでも知っているベテランのコンシェルジュに相談することもできますので、気軽に声をかけてみてください。
1階のミュージアムショップにはタイルの詰め放題や、DIYのキット、アクセサリーなど気軽に生活に取り入れられる地元メーカーさんのタイル製品が並びます。
また、体験工房ではタイルを使ったオリジナル小物を作ることもできます!
知れば知るほどおもしろいタイルの魅力がぎゅっと詰まった「多治見市モザイクタイルミュージアム」。
建築の視点、アートの視点、暮らしの視点など様々な角度から楽しめる空間に、ぜひ足をお運びください!
多治見市モザイクタイルミュージアム
住所:岐阜県多治見市笠原町2082-5
営業時間:9:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
定休日:月曜日(休日の場合は翌平日)
入館料:個人300円 団体250円 高校生以下無料
HP:http://www.mosaictile-museum.jp/
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