【THE GIFTS SHOP】七窯社(多治見市)

モザイクタイルの発祥の地であり、現在も国内屈指のタイルの生産地、多治見市笠原町。その笠原町からほど近い多治見市高田町に工房を構え、色とりどりの美濃焼タイルのアクセサリーを生み出して注目されているのが七窯社さんです。

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タイルというと、一般的には建物の外壁や内装に使われるもの。それがアクセサリー作りへと繋がったのには、どんな経緯があったのでしょうか?七窯社さんを訪れて、お話を伺いました。

▶︎タイルの卸売業から、アクセサリー作りへ

「七窯社は昭和24年に創業したんですが、もともとはタイルの卸売から始まったんですよ」と話してくれたのは、3代目を継ぐ鈴木耕二さん。

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「戦後、日本ではタイルが広く普及し、旧笠原町(現在は多治見市笠原町)では、タイルの生産量も飛躍的に増加しました。そこで、私の祖父がタイル産業を支える卸売から事業をスタートしたんです。その後、2代目の父が『役物(やくもの)』と呼ばれる、外壁のコーナー部分に使われるタイルの製造に着手し、徐々にタイル製造に重きをおくようになりました」。

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しかし、バブルの時代をピークに日本のタイル市場は次第に縮小していきます。さらに、耕二さんが3代目として家業を継いだ後は、リーマンショックの影響もあってタイルの需要はさらに落ち込んでいきました。

「そこで、タイルを使った新たな商品が開発できないかと考えたんです。そして、完成したのがこのタイルのパズルでした」。

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それまで役物の製造で培われてきたカットの技術を応用して、正方形のタイルを様々な形のパーツにカットしたもので、組み合わせを変えることで、人やショベルカーなどの形が作れます。また、それぞれに目や鼻や耳などを彫って象やうさぎや犬に見立てた、工夫を凝らしたパズルだったのですが…。

「実は、これが全然売れなかったんですよ…(笑)」。

それでも、新たな商品づくりに取り組んでいると、「おもしろいことをやっているタイルの会社がある」という評判が少しずつ広まり、タイルシンクを製造する「作善堂」さんや、七窯社さんのホームページからタイル制作の依頼が届きます。

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「作善堂さんの依頼で金魚、ホームページからの依頼でハリネズミの形をしたタイルを作ったんですが、とても喜んでいただけたんです!どちらも複雑な形ですが、役物の製造で培ってきたタイルカットの技術を生かすことができました」。

さらに、インターンとして働いていた学生さんが「タイルでアクセサリーを作ってみたらどうか」とひらめきます。早速、タイルのイヤリングやピアスなどを作って「たじみ陶器まつり」で販売してみることに。

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その後、アクセサリー用に建物用タイルよりもかなり薄い1.8ミリの厚さのタイルを開発。そして、このタイルを使ったアクセサリーを多治見市が主催するビジネスフェア「き」業展で販売すると、反響は上々!

やがて、このタイルアクセサリーが七窯社の柱となる商品の一つになっていったのです。

「当初、私は『技術力を活かすこと』ばかり考えていたので、タイルがイヤリングやピアスになるなんて、思ってもみませんでした」と耕二さんは振り返ります。「でも、もともとタイルは建物に“彩り”を添えてきたものですよね。そう考えると、アクセサリーも”人を彩る”もの。タイルの価値が生かされるはずなんだと、しっくりきました」。

▶︎一つずつ職人の手で丁寧に作られるアクセサリー

タイルアクセサリーの製作の現場も見せていただきました!

タイルの原料となるのは、粉末状の粘土。これを押し固めて成形していきます。

アクセサリーの場合、成形方法は2つ。1つはプレス機で押し固める方法。もう1つは、石膏型で型押しする方法です。

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写真上が石膏型、下がプレス機により成形したもの

プレス機で押し固めて成形するのは、写真の下の列にあるような表面に凹凸のないデザインのもの。金型を使ってプレスするため、均一な形に仕上がります。ちなみに、押し固めるときのプレス機の圧力は、なんと50トン!成形後は水とスポンジで端をなだらかに整え、丸みをつけます。

一方、石膏型で型押しして作るのは、写真の上の列のような表面が立体的なデザインのもの。粘土を石膏型に押し込んで作ります。石膏型が水分を吸って乾燥したら型から外し、さらに水分を抜くために素焼きします。より多彩なタイルの形を表現できるのが、こちらの成形方法です。

成形を終えたら、絵付けや、釉薬を塗る工程に。職人さんたちは、小さなタイル一つひとつに丁寧に筆を動かしていました。

「この釉薬は焼く前は茶色に見えますが、焼成すると金色になるんですよ!」

釉薬に含まれている金属の種類や量によって、焼き上がりの色が変化します。たとえば、鉄が多いと茶色、銅が多いと緑色になるんです。化学の実験のようで面白いですよね

釉薬が塗られたタイルは、電気窯で焼成し、手作業で金具をつけたら、完成です!

▶︎色とりどり、繊細でレトロなタイルのアクセサリー

ここからは、七窯社さんの素敵なタイルアクセサリーの一部をご紹介!

まずはなんとも色鮮やかな「イロとカタチの選べるピアス・イヤリング」シリーズ。

その名の通り、「菖蒲色」「空色」「浅葱色」といった20種類以上もの色と、「正方形」「5角形」「8角形」「丸」といった6種類の形を自由に組み合わせて購入できるイヤリングやピアスです。

イロとカタチの選べるイヤリング/ピアス 各¥1,430(税込)

色と形の組み合わせは実に多様!片耳ずつ違う色や形をつけても可愛いので、どれにしようか迷ってしまいますね…!

こちらは伝統的な和の文様を取り入れたデザイン。

(左から)もざいく 草花文 ¥4,400、もざいく 草花文 小 ¥3,300(税込)

エレガントな雰囲気なので、和装にも似合いそうです。

また、七窯社さんでは、ののむらみなみさん、駒井香文(こまいかふみ)さんという2人のデザイナーさんがそれぞれの感性を生かして、個性あるオリジナルのアクセサリーをデザイン・製作しています。

その中でも、ののむらみなみさんが手がけた作品をご紹介。

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かれん(イヤリング/ピアス) 各¥3,850(税込)

みちくさ(イヤリング/ピアス) 各¥3,850(税込)

小ぶりな花に葉と茎があしらわれた「みちくさ」は道端に咲く小花をイメージしたもの。耳元をさりげなく華やかにみせてくれます。

男性におすすめのアクセサリーも発見!定番の白いシャツも、袖口からちらりとこんなカフスがのぞくだけで、とってもおしゃれになりますね!タイルならではの派手すぎない、落ち着いた色合いも魅力です。

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カフス(瑠璃色、紅) 各¥3,300(税込)

高い技術力とオリジナリティのある粋なデザインが結びついて生まれた、七窯社さんのタイルのアクセサリー。装いを彩ってくれるのはもちろん、きっと、身につけた人の心にも彩りを与えてくれることでしょう。

七窯社さんのアクセサリーは、THE GIFTS SHOP店頭でご購入いただけますよ!


七窯社(有限会社 鈴研.陶業

住所:多治見市高田町8-106

TEL:0572-22-0388

WEBサイト:https://nanayosha.com/index.html

2021年11月03日作成
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