【高山市】いわき「早蕨(さわらび)」/岐阜のおやつ

岐阜県にあるお菓子屋さんで出会った美味しいおやつを通して、そのお店の歴史や作り手さんの想いなどを紹介していく「岐阜のおやつ」

今回ご紹介するのは、高山市にあるわらび餅専門店「いわき」さんです。


いわき

平成10年に高山市上三之町で甘味茶屋として創業。多くの客からのニーズに応え、わらび餅の持ち帰り専門店に転向。国産わらび粉を使って丁寧につくられるわらび餅は、全国にファンを持つ。


年間を通して、国内外からたくさんの観光客が訪れる高山市。特に昔ながらの建物が残り、老舗の酒蔵をはじめ、お土産物屋さんやカフェなども数多く軒を連ねる「古い町並み」は “小京都” とも呼ばれ、観光名所として高い人気を誇ります。

また、まちの中を流れる宮川沿いでは、毎朝、地元の農家で採れた新鮮な野菜が並ぶ朝市が立ち、にぎわいます。今回紹介する「いわき」さんは、そんな高山市の古い町並みや宮川からすぐの場所にあります。

▶︎「古い町並み」と一緒に立ち寄りたいわらび餅専門店

赤い中橋に向かう道

「古い町並み」から宮川に架かる赤い中橋に向かって歩いていく途中に、わらび餅専門店の「いわき」さんがあります。

旧高山町役場

通りを歩いていると、立派な建物を発見。これは明治28年から昭和43年まで、町役場や市役所として使用されていた「旧高山町役場」(高山市政記念館)。昭和61年までは公民館としても使われていたんだそう。高山の歴史を感じますね。

外観

その旧高山町役場のちょうど真向かいが、こちら。毎年春と秋に開催される「高山祭」のからくり屋台「石橋台(しゃっきょうたい)」が収められている大きな蔵のすぐ隣にあるのが「いわき」さんです。

看板

看板商品は、もちろん、わらび餅の「早蕨(さわらび)」。

▶︎定番の「早蕨」と季節限定のわらび餅

お店に入ると、壁には「いわき」さんの外観をとてもリアルに描いた版画や、賞状が飾られています。

ショーケース

そして、小さなショーケースが一つ。

実はもともとは平成10年に甘味茶屋としてオープンし、わらび餅のほかに、ぜんざいやところてんなども店内で食べられたんだそう。ところが、バスツアーのバスガイドさんの口コミでわらび餅が評判になり、さらに各地から訪れたお客さんからも「美味しいわらび餅をお土産に持ち帰りたい!」という声がとても多くなったため、それに応える形で、平成12年頃にわらび餅のお持ち帰り専門店に転向したのです。

早速、ショーケースを覗くと…ありました!

店頭に並んだ早蕨
「早蕨」は1パック(300g)490円(税込)

早い日は、午前中で売り切れてしまうこともあるという「早蕨」。大きなパックにわらび餅がたっぷり入って、490円とは…。思わず、お土産にいくつも買って帰りたくなります。

「私はとにかくおやつが好きで、中でもわらび餅が大好きなんですよ」と笑顔で迎えてくれたのは、店主の海老沢玲子さん。

「大好きなわらび餅を作って、お客様に美味しいって喜んでいただけたら、それが何より嬉しいんです。そもそも、わらび餅って駄菓子なんですよ。お茶を飲みながら気軽に食べてもらいたい。だから、ギリギリでも500円でおつりがくるようなお菓子のわらび餅を守っていきたいと思っています」。

そんな言葉に、美味しいわらび餅を愛情たっぷりに作ってお客様に届けている海老沢さんの強い想いがひしひしと伝わってきました。

煎茶
夏の季節限定の「煎茶」も1パック490円(税込)

そして「早蕨」の隣には季節限定のわらび餅も!「いわき」さんでは定番のほかに、季節のわらび餅も販売しているんです。

《季節限定のわらび餅》
 春 … さくら吹雪
 初夏 … ブルーベリー
 夏 … 煎茶
 秋 … 飛騨りんご
 冬 … あずき

この日並んでいた夏の「煎茶」は、煎茶を細かく粉末状にした粉茶を混ぜ込んだもの。ふたを開けた途端に、お茶のいい香りが漂います。

ちなみに秋からの「飛騨りんご」は、甘く煮詰めたりんごを使ったジャムのような味わいのわらび餅で、そちらもとても人気なんだそう。

▶︎わらび餅は、水が命

特別に、作りたてのわらび餅を見せていただきました。

ケースいっぱいのわらび餅!! そっと触ってみると、ぷるんぷるんっ…。予想を超える柔らかさと弾力に、思わず歓声をあげてしまいました。

作りたてのわらび餅
こんなわらび餅のベットで眠ってみたい…(笑)

「わらび餅にとって、一番大切なのは水です。このわらび餅は、ここの水でないとできません。高山市内でも特にこの通りには老舗の酒蔵も集まっていて、250年以上続く料亭もありますが、それは水がいいからなんです」。

国産のわらび粉とこの土地の水を使い、大量生産ではなく、作れるだけの量のわらび餅を丁寧に作って、お客様に届ける。それが「いわき」さんが大切にしていることなんですね。

いわきの早蕨

わらび餅は全国発送もしていますが、驚くことに海老沢さんは、発送するときに同じケースのわらび餅を少し取っておいて、消費期間の3日間保管しながら味の変化を確かめていると言います。「顔の見えない方にお届けするわけですから、せめてそれくらいはしたくて。本当は宅急便についていきたいくらいなんです(笑)」。

まるで我が子をお嫁に出すような気持ちで、大切にわらび餅をお届けしている気持ちを伺って、ますます「いわき」さんのわらび餅が好きになってしまいました。

▶︎「いわきの早蕨」の美味しい食べ方

ここで、いわきさんの「早蕨」の美味しい食べ方をご紹介!

まず、何と言っても一番のポイントは 冷蔵庫に入れない こと!
少し冷やした方が美味しいのでは…と、うっかり冷蔵庫に入れると、白く曇って硬くなってしまいます。あくまで、常温のまま 食べるのが美味しく食べる秘訣です。

パッケージ

まずは、パックから別添えの黒蜜ときな粉を取り出します。

黒蜜をかける

わらび餅に箸やスプーンでいくつか切り込みを入れ、黒蜜をかけます。

きな粉をかける

きな粉をたっぷりかけて、完成です!

袋を開けた途端に芳ばしい香りが広がるきな粉。これは「焦がしきな粉」なので、ほのかな苦味があるやや大人の味わいですが、だからこそ、ほどよい甘みの黒蜜と相性が抜群なんです。

早蕨と煎茶

とろりとして、心地よい弾力があり、それでいて最後には余韻とともに口の中で溶けていく、「いわき」さんならではのわらび餅。

高山を訪れる際に「いわきの早蕨」をお土産にしたら、喜ばれること間違いなしです。売り切れ次第終了となりますので、事前に電話でお取り置きしておくのがおすすめです。また、電話で全国発送もしてくれますので、遠方の方もぜひ味わってみてくださいね。


いわき

住所:高山市上三之町111-2

営業時間:9:00~16:00(売り切れ次第終了)※電話での予約は13:00まで

定休日:火曜日、不定休あり

TEL:0577-34-1113
※電話注文にて、お取り置きや全国発送も可能です

2020年09月15日作成
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