【御嵩町】glass studio 三日月/後編

可児郡御嵩(みたけ)町にある吹きガラス工房&ギャラリー「glass studio 三日月」さん。前編では、ギャラリーで展示・販売されているガラス作品をご紹介しましたが、この後編では実際に吹きガラスで作品を制作する様子をレポートします!

>>>glass studio 三日月/前編(ギャラリー)の記事はこちら

外観

建物は1階が工房、2階がギャラリーになっています。

奥村さん夫婦

この「glass studio 三日月」を営むのは、ガラス作家の奥村源基さんと弥生さんご夫婦。沖縄で9年間ガラス制作の修業を積み、2020年7月に源基さんの故郷である御嵩町にこの工房&ギャラリーをオープンされました。

早速、工房での制作工程を見学させていただきます。

道具

作業場には、あまり見かけたことのない形のハサミや大きなピンセットなど、専用の道具が作業しやすいように決まった場所にきれいに並べられています。

スケール

今回はこの「みなもグラス」を作る工程を見せていただきます。このスケールでグラスの膨らみや口の大きさを測りながら作るそうですが、一つずつ手作業で作りながら、すべてのグラスを同じ大きさや同じ膨らみに揃えること自体がすごい技術ですよね。

ガラスの材料

こちらは、ガラスのおもな材料である「珪砂(けいしゃ)」。こうした材料を1200℃に熱して溶かし、ゆっくりと冷ますことでガラスができます。

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いよいよ、作業がスタート!現場の空気がピンと張り詰めます。

工房の二人

工房には2台の炉があり、源基さんと弥生さんが二人で呼吸を合わせながら作業を進めていきます。

まずは、炉の中の溶けたガラスを吹き竿で巻き取り、濡れた新聞紙で形を整えます。

吹き竿からガラスに息を吹き込み、膨らませます。「吹きガラス」といえば、イメージするのはこの工程ですよね!

溶けたガラスは下に垂れてしまうため、常にくるくると回しながら作業をします。二人で仕上げる段階では、源基さんがベンチ台で吹き竿を前後に回しながら成形し、弥生さんはその竿を口に加えて移動しながら息を吹き込みます。

途中で何度も炉に入れてガラスの温度を調節しながら作業を続けるお二人のぴったりと息の合ったコンビネーションに感心してしまいました。

グラスのボウル部分が完成したら、底の中央にガラスをくっつけて持ち手を作り、木ごてで平らにします。さらに、別の吹き竿で台座の部分を作ります。

持ち手と台座をぴったりとくっつけます。少しでも位置がずれるとグラスが傾いてしまうので、慎重に見極めます。それにしても、透明なガラスの美しいこと!そして、ガラスは硬いものと思い込んでいますが、制作工程ではこんな風に柔らかな表情をしているんですね。

台座の部分を「洋ばし」と呼ばれる大きなピンセットで広げ、木ごてで平らにしたら、竿を移し替えるために底の中央に別の竿を取り付け、グラス部分の竿を外します。

くひれを広げる

飲み口となる部分を、ピンサーという道具で引っ張り、薄くのばしていきます。

ガラスを切る

ガラスをハサミで切り取るなんて…!もちろん、熱したガラスだからできるんですが、そばで見ていると、ちょっと不思議な感じがします。

飲み口を広げる

もう一度、飲み口を広げて整えます。ついに「みなもグラス」の形になりました!こんな工程を経て一つのグラスが作られるんですね。

「実は作業中のガラスの色は、温度によって変わるんです。赤色から黄色、透明、青っぽい色まで変化するので、その色も見ながら判断しています。ガラスは熱しすぎると溶けて変形しますし、冷めると固まってしまいます。急に冷えるとパリンと割れてしまうこともあって。それに、夏と冬では外気の温度も違うので、ガラスが熱くなる時間や冷めていく時間も変わります。作業が始まると、常にガラスの状態を見て、すぐに判断をしていくことの連続ですね」。

竿を外す

できあがったグラスの底に付けていた竿を外し、外した部分をバーナーで熱して平らにします。

バーナーで仕上げ

確かに、火が当たっているところのガラスはオレンジ色をしています!

この後、一晩かけて徐冷炉でゆっくりと冷ましたら、グラスの完成です。

みなもグラス
みなもグラス(クリア)3,800円

ころん、とした丸いフォルムが可愛らしい「みなもグラス」。この一つひとつにあの手作業の工程があったんだと思うと、より愛しく思えます。

「ガラスが持つ、どこか儚い美しさに惹かれてガラス作家の道を選んだんです」という源基さんと弥生さんの言葉がとても印象的でした。

「glass studio 三日月」さんは金、土、日曜にギャラリーをオープンされています。ぜひ、ギャラリーを訪れて、お二人が生み出す美しい作品を実際に手に取ってみてください!


glass studio 三日月

住所:岐阜県可児郡御嵩町西洞5933-7

営業日時:金・土・日曜の10:00~17:00(第3日曜はお休み)

TEL:0574-67-4766

WEBサイト:https://www.shop-mikaduki.net/

オンラインショップ:https://shopmikaduki.thebase.in/

Instagram:@mikaduki.glass

2021年03月14日作成
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