【岐阜】過ぎ行く1年に思いを馳せる。岐阜の冬の新風物詩、こよみのよぶね。
岐阜の冬の新風物詩「こよみのよぶね」。
一年で最も夜が長い冬至の日に、長良川にこよみを表す1〜12の数字をかたどった行灯を掲げた鵜飼舟を流し、訪れた人々は過ぎ行く1年に思いを馳せます。
さかだちブックスは「やながせ倉庫×カンダマチノート」チームの一員として今年も参加出せていただきました!
朝7時。
眠い目を覚ませられるような凛とした冬の空気のなか、長良川河川敷には20名ほどの準備メンバーが集合しました!
昨年に引き続きリーダーを務める住さん、吉川さんに続いて総合監修の日比野克彦さんからごあいさつをいただき、それぞれ自己紹介。
こよみのよぶねの行灯の取り付けを担当してくださる庭師の「職人チーム」の親方から、取り付けについての注意事項の説明を受けます。
職人さんなくしてこよみのよぶねなし。
とても頼もしく、なくてはならない存在です。
一通り説明を受けたところで、早速行灯の運搬作業へ。
まずは、各チームが趣向を凝らして制作した大きな行灯を河川敷に運び出します。
雄大な長良川に浮かんでる風景からは伝わりにくいですが、人が並ぶとその巨大さがよくわかります!
行灯に貼られた美濃和紙がやぶけないように慎重に……よいしょ!
運ばれた行灯は、職人チームと男性陣で舟に取り付けられます。
職人さんがロープを引くのに合わせてて行灯を起こします。
紙と竹でできているとはいえ、これだけ大きいとなかなかの 重量感。
みんなで息を合わせて起こします!
「あと50cm右にー!」
親方の指示のもと職人さんと参加者が力を合わせて行灯を設置していきます。
川縁を覗くと、しっかりとボルトで固定する職人さんの姿がありました。
たくましくてかっこいい!
職人さんの作業を見守る参加者たち。
毎年のことながら手際のよさに圧巻です……!
お昼を迎えるころには太陽が顔を覗かせ、絶好のこよみ日和!
だんだんと体もあったまってきてきました。
共同作業のおかげで、はじめましての参加者同士にもいつの間にか会話が生まれていたり、体だけでなく場もあたたまったようです。
男性陣が力仕事を進めるなか、室内では女性陣が「こよみっけ」と呼ばれる短冊の準備をしていました。
「こよみっけ」は市民からその年にあった思い出を書いていただいたもの。
月ごとにまとめて、本番の「こよみっけ渡し」で巫女から各舟に渡されます。
こよみっけから見知らぬ人の1年の思い出が垣間見られます。
もちろん幸せな出来事ばかりではないけれど、自分の1年に重ねたり誰かの1年に想像を巡らせながら作業を進めます。
お子さんも張り切って参戦!
さて、そうこうしているうちにあっと今にお昼の時間。
ランチミーティングから参加される方も多く、朝に比べると随分賑やかになりました!
ランチは岐阜市今小町にお店を構える「ばんざい弁当」さんのお弁当。
おいしいお弁当とスタッフさんの明るい雰囲気で、昨年のオープン以来すっかり人気店となったお弁当屋さんです。
みなさんお腹ペコペコだったので、みなさんペロリと平らげていました。
さて、腹ごしらえをしたところで、本番に向けた最後のミーティング。
ここで、吉川さんからこよみのよぶね12周年企画「こよみのえぼし」のクラウドファンディングが無事達成されたという嬉しいご報告もありました!
注意事項のアナウンスも受け、気を引き締めて、午後の作業に移ります。
午前中に予定よりも早く進んでいたので、午後からの作業もスムーズ。
着々と行灯の取り付け作業は進み、大きな行灯を取り付けられた舟が点灯式を待ちます。
こうして整列するとさらにきれい!
今年は信長450プロジェクトの一貫で、1〜12月と干支の舟の他に、450と500の舟を合わせた全部で15隻が流れます。
さて、ひと段落ついたところで「鶏塩うどん」のふるまいがありました。
もくもくと立つ湯気がいかにもおいしそう!
日が当たらず、寒い時間が続いていたので、あたたかい食べ物は本当にありがたいです。
ここからが長いので本番に向けてしっかりと腹ごしらえ。
薬味をたっぷり加えていただきます!
冬至なのでほんのりゆずの風味がしてとてもおいしかったです。
8月舟を担当した「えーげ羽島」さんからはれんこんチーズパンの差し入れもあり、すっかり元気回復です。
ふるまいで体がほっと温まったところで、それぞれの持ち場について本番に向けての最終調整。
こちらは日比野さんによる和太鼓のレクチャー。実はランチミーテイングで各舟に乗るメンバーの中から一人「バチ番長」として太鼓係を任命されていました!
「イメージはね、雨漏り。」という日比野さんに参加者はぽかんとした様子でしたが、どうやらそれぞれの舟から不規則にボーンという音が聞こえるのが理想だそうです。
雄大な長良川に響き渡るように気持ちを込めて力強く叩きます。
こよみっけ渡しの大役を任されたのは、学生団体IFUの川脇さんと、戸惑いながらも引き受けてくださったカンダマチノートの井上さん、渡辺さん。
みなさん初めてなのにとてもお似合いです……!
「鵜匠の家 すぎ山」の前で執り行われるこの儀式は、多くのお客さんに間近で見られることもあって、入念にリハーサル。
本番では午前中に女性チームが制作した短冊を棒の先端に掛けて舟へと受け渡します。
そしていよいよ点灯式に向けて各舟の行灯が点灯するかどうかの確認作業。
行灯の他に、舟の脇に種提灯が灯ります。
ちなみに、この提灯、多くの方が「豆提灯」と読んでいますが正式には朝顔の種をイメージした「種提灯」だそうです!
「うん、OK! 点いてる!」と、入念すぎるくらい入念にチェックする門脇さん(笑)。
門脇さんは過去にリーダーを務められていた頼もしいメンバーです。
こよみのよぶねは2年ごとに代々引き継がれてきて、その年々でリーダーの個性が出てくるのもおもしろいところ。
この先もずっと引き継がれ、1000年続くことを目指しています。
少しずつ立ち止まるお客さんが増え、空もいつの間にか夕焼けに色づいてきていました。
点灯式も無事終わり、あとは日が沈むのを待つだけ。
天気がよかったため、日が沈むに連れて山の稜線がくっきりと浮かび上がってきて、より一層美しい風景になりました。
長良橋の上にも立ち止まりカメラを構える人々の姿が見えます。
こどもたちが集まっていたのは、今年の干支である酉の行灯の舟。
この行灯にはちょっとした仕掛けがあって、中に入って竹のレバーを動かすと、パタパタと羽が動く作りになっています!
「チーム美濃和紙」さんが制作を担当した力作。
羽をパタパタさせながら長良川を泳ぐ様子が愛くるしかったです。
見る見る間に青空は夕焼け空へ、そして1年でいちばん深く長い夜が始まりました。
すっかり暗くなった夕方5時30分ごろ、1月舟から順番にいざ出航です!
さかだちブックスが乗船したのは12月舟。
他の舟が出航するのを見届けてから長良川をゆっくり進みます。
舟に揺られ、この1年に思いを馳せることおよそ2時間……
1年間あっという間だったように感じるけれど、1ヶ月ずつ振り返ると色々なことがありました。
良いこともうまく行かなかったことも、思いを馳せられる日々がちゃんと存在していて、こうして振り返ること自体がとても豊かなことのように感じます。
フィナーレには盛大な花火が打ち上げられ、今年のこよみのよぶねも無事幕を閉じました。
そして、みんなで協力して片付けたあとは、ホテルパークさんでの大宴会!
「乾杯ー!!」
こよみのよぶねの関係者100名以上が一堂に会し、おいしいお料理とお酒を囲む恒例の宴会です。
チームごとに今年1年を振り返ったり、こよみを通して知り合った人と話に花を咲かせたり……
今年はなんと、岩手と神戸からわざわざこよみのよぶねを見に来てくださった方もいらっしゃいました。
日付が変わってもこよみのよぶねはまだまだ続きます。
みなさんにとって今年はどんな1年でしたか?
来年もまた元気にこよみのよぶねを迎えられるよう、みなさんのこれからの1年が充実した日々になることを願っています。
日比野さんをはじめ、実行委員会のみなさん、リーダーの住さん、吉川さん、そして行灯制作やごはんの手配などなど……関わってくださった全てのみなさん、本当にお疲れ様でした!!
こよみのよぶね2017
開催日:2017年12月22日(金)
場 所:長良川鵜飼乗船所から鵜飼ミュージアム辺りの長良川
時 間:16時〜21時頃(点灯時間は16時〜20時頃)
H P:http://www.koyominoyobune.org/
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