【高山市】津田彫刻

一刀ずつ真心こめて彫られた、繊細で愛しい置物。

岐阜県高山市にある「津田彫刻」さんは、伝統的工芸品としても認定される「一位一刀(いちいいっとう)彫」を代々作り続けています。

“ 一位 ”の語源はイチイの木が由来とされています。時は平安時代、二条天皇即位の際に献上した、飛騨の位山(くらいやま)のイチイの木で作られた芍(しゃく)が、他のものよりも優れていると認められ、“ 正一位 ” という称号を承ったそうです。

「イチイの木と1番をかけて“ 一位 ”、一刀ずつ心を込めて彫っていることから“ 一刀彫 ”、それらを併せて「一位一刀彫」となりました。」と教えてくださったのは、現在六代目として活動される津田亮佳(すけよし)さん。現在は、お兄さんの津田亮友(すけとも)さんとともに六代目として活躍されています。

江戸時代末期、根付彫刻師であった初代の松田亮長(すけなが)さんがイチイ材の持つ特徴の白太・赤太(辺材・心材)を使い、彩色を施さないシンプルな造形の一位一刀彫を大成したそうです。

イチイの木の特徴は、中心部が茶色くて、周りが少し明るめのクリーム色であること。このイチイの木の特徴を活かし、頭部のみ白い「ふくら雀」や一部だけ白いブローチ、茶色の銭に白いカエルがのった「銭が帰る(カエル)」など、さまざまな表現が可能となっています。

「この年輪の一つひとつが一年なんですよね。」と津田さん。細かな年輪が美しく模様となって浮かびあがっており、使用された木がいかに立派であったかを静かに物語っています。

作業台にずらりと並ぶ彫刻刀たち。彫り物をする際に使用する彫刻刀は、丸刀、平刀、三角刀など30種類以上に及び、職人の知恵と技で、その場面に適した彫刻刀を選び彫り込んでいくそうです。

はじめは、荒く大胆に。徐々に細く、丁寧に。職人技ならではの手さばきは、父親の津田亮定(すけさだ)さんと共に作業をして年月をかけて身につけたものだといいます。

「彫り師が違うとね、不思議と出来上がる物の雰囲気も変わるんですよ。」と言いながら、イチイの木を見つめ、一刀ずつ丁寧に彫りすすめていきます。それでこそ、まさに作り手の魂がこもった工芸品ともいえるのかもしれません。

また艶出しや手あかを防ぐために、一位一刀彫は仕上げに白蝋のみを塗るそうですが、日本全国の彫り物の中でも、木目を美しく際立たせるために、他に何も塗らないものは珍しいそうそうです。故に、年々、木が色濃く艶を増していき、経年変化を楽しむことができるのもこの一位一刀彫ならではの特徴とされています。

「最近では彫り師が少なくなってしまいましたが、この一位一刀彫ならではのよさを、多くの方に手にとって知っていただきたいですね」。

津田彫刻さんの一位一刀彫の商品は、THE GIFTS SHOP ONLINE STOREでも購入いただけます。
一つひとつ表情の異なる愛らしいアイテムが揃っています。ぜひ、自分だけのお気にいりを見つけてみてくださいね。

2022年12月02日作成
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