【各務原】岐阜かかみがはら航空宇宙博物館/後編

各務原市にある“空宙博(そらはく)”こと、「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」をご紹介する後編です!

前編の「航空エリア」の紹介では、各務原市での航空機産業の始まりから、戦前・戦中・戦後の航空機開発の歴史、企画展「もっと遠くへ-長距離飛行に挑んだA26-」など、さまざまな「空への挑戦」についての展示が目白押しでしたが、後編では地球を離れ、いよいよ宇宙へと飛び立ちます!

>>>【各務原】岐阜かかみがはら航空宇宙博物館/前編の記事はこちら

[S1 空から宇宙へ]

宇宙エリア」に入ると、いきなり巨大な物体が目に飛び込んできます。

これは、ロケットの先端部分に格納された人工衛星を守る「フェアリング」で、展示してあるものはなんと本物の「H-IIロケット」の フェアリングなんです!とにかくその大きさに圧倒されます…。

このフェアリングは、打ち上げる時には左右のパネルが「ノッチボルト」と呼ばれる特殊なボルトで固定されていて、格納している人工衛星を熱や振動から守ります。そして、大気圏外に到達すると、火薬を爆発させることで一気にボルトを外し、フェアリングを分離した後に人工衛星を放出する仕組みになっているんです。

起爆前と起爆後のノッチボルトが展示されていました。ちなみに1本でもボルトが外れないと、フェアリングが割れず、莫大な予算をかけて行われるロケットの打ち上げが失敗してしまうことに…。数百本ものボルトをすべて同時に外す仕組みの開発にも長い年月がかかっているんだそう!こんな小さなボルト1本1本にも、宇宙産業を担う最先端の技術が使われているんですね。

その隣には、フェアリングの内部のパネルの重さが体感できる展示もあります。果たして、フェアリングは重いのでしょうか。それとも、軽いのでしょうか?ぜひ、実際に持ち上げてみてくださいね!

[S2 宇宙への出発 ーロケットー]

2階に上がると、これまで打ち上げられてきた日本や世界のロケットを紹介するコーナーがあります。近年の代表的な国産ロケットや現在開発中のロケットの模型が展示されていて、ロケット開発におけるさまざまな挑戦の歴史や、世界のロケットの比較についても知ることができます。

※S2フロアは2021年12月9日から展示内容がリニューアルされます。どのように変わるのか楽しみですね!

“日本の宇宙開発・ロケット開発の父”と呼ばれる糸川英夫さんのパネルも。探査機「はやぶさ」が到達した小惑星「イトカワ」の名前も、糸川教授にちなんで名付けられているんですね。それぞれの展示に詳しい解説が書かれているので、じっくり読んでいるとどんどん宇宙に関する知識が増えていって楽しい!

「H-IIロケット」の模型を撮影していたら、その向こうに1階に展示されている実物の「フェアリング」の先端が見えました。この模型の先端にあるフェアリングだけで実物があれほど大きいとすると、実際のロケット全体はどれほど大きいのか…。想像するだけでワクワクします!

[S3 宇宙から地球のくらしを支える ー人工衛星ー]

歴代の人工衛星の1/1サイズの模型も展示されていました。現在では、機能を細分化することで人工衛星も小型化が進んでいるのだそう。超小型人工衛星はその名も「CUTE-Ⅰ」。たしかに、「これが人工衛星?」と思うほど、小さくてキュートですよね!

さて、ロケットコーナーの奥に、意外なものを発見!あれ、刀…?

「宇宙エリアに、なぜ刀が?」と思った方もいるはず。実はこれは「天鉄刀」と名付けられた刀で、なんと「鉄隕石(てついんせき)」から作られているんです!実は人類は鉄鉱石などから鉄を作る技術がなかった紀元前1,300年頃より以前には、鉄隕石から鉄器などを作っていたといわれています。

そこで、こちらでは“刃物のまち”として有名な岐阜県関市の刀匠に協力をあおぎ、日本刀を作る職人の技術を用いて製作した、100%鉄隕石製の刀剣「天鉄刀」を展示しているんです。宇宙から届いた隕石から鉄の刀剣が作られるなんて、すごいロマンを感じますね。

さらに、まだまだ展示は続きます!

[S4 人を宇宙に送る ー有人宇宙開発ー]

スペースシャトルの1/25サイズの模型や宇宙服の展示などに続き、国際宇宙ステーション(ISS)で最大の実験モジュールである日本実験棟「きぼう」の実物大模型では、実際に中に入って宇宙飛行士気分を味わうこともできます!

[S5 宇宙と生命の謎を探る ー宇宙探査ー]

最後は火星探査車「キュリオシティ」の模型展示などを通して、最新の探査機の状況と将来の計画「宇宙探査」の世界へ。ゲーム感覚で学べる体験コーナーもありますよ。

そして、展示を見終わったら、ぜひともミュージアムショップへ!

航空宇宙や展示にまつわるグッズだけでなく、岐阜県や各務原市の名産品やオリジナル商品なども販売されていて、じっくり見ているだけで時間を忘れてしまいそう。

中でも一番人気は空宙博オリジナルの「パイロットベア」。ゴーグルとキャップが取り外しできる、かわいい上に本格派のぬいぐるみです。そのほかにも、ブルーインパルスなどのアイシングクッキーや、驚くことに隕石まで販売されていました!

そして、編集部が一番気になったのは、やはりこのコーナー!

そう、「宇宙食」です!お湯かお水を注ぐだけでできる「宇宙食のおにぎり」も気になりますが、人気があるのは「たこ焼き」だそう!

日本だけでなく、世界のこれまでの航空宇宙産業の歴史や発展、そしてこれからの未来についても、大人も子どもも一緒になって深く学び、考えられる「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」。カフェも併設していますので、いろんな展示を楽しみながら、1日中ゆっくりと過ごせるおすすめのスポットです。

お得な年間パスポート(購入日から1年間、何度でも入館可、大人2,000円、高校生・60歳以上1,300円)もありますので、ぜひ、何度でも出かけてみてくださいね!


岐阜かかみがはら航空宇宙博物館【愛称:空宙博(そらはく)】

住所:各務原市下切町5-1

開館時間:10:00〜17:00(土日祝は18:00まで)※最終入館は閉館の30分前まで

入館料:大人 800円、高校生 ・60歳以上 500円、中学生以下は無料

休館日:第1火曜(祝日の場合は翌平日休み)、年末年始(12月28日〜1月2日)

TEL:058-386-8500

WEBサイト:http://www.sorahaku.net/index.html

2021年12月07日作成
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