【東京】岐阜を題材にした資生堂ギャラリー展示「おもかげのうつろひ」に伺いました!
東京・銀座にある資生堂ギャラリーにて、2023年4月18日(火)〜5月21日(日)まで、岐阜県瑞浪市大湫(おおくて)町のご神木を題材にした展示「おもかげのうつろひ」が開催されています。
今回の展示を手がけたのは、北海道出身の佐藤壮馬さん。なぜ、ゆかりもなかった岐阜の地を訪れ、大湫町のご神木に出会ったのか、今回の展示のテーマはどのようなものなのか、ご本人にお話を伺ってきました。
中山道の47番目の宿である大湫宿があった歴史根付くまち、大湫町。そのまちのシンボルともいえるのが、太古から伝わる神籬(ひもろぎ)信仰の対象でもあった、高さ約40mに及ぶ大湫神明神社のご神木の大杉でした。ご神木は樹齢約670年を数えましたが、2020年7月の豪雨により倒壊してしまいます。
その後まちの方々が協力し、クラウドファンディングなどでご神木を活用したバイオリンやコースターなどを制作したり、ご神木の根本部分を立ち上げて新たなシンボルを作ったりと、精力的に活動をされています。
偶然にも、ご神木が倒れたことを記事で知った佐藤さん。この事象を通してインスピレーションを受けたそうです。
故郷の北海道で過ごしていた佐藤さんですが、自宅周囲のアイデンティティのない画一的な家の並びの原風景に違和感を抱き、自ずと自然豊かな風土を求めるようになっていたと語ります。
そして、もう一つのきっかけとなったのがコロナ禍。当たり前であった生活様式が変わり、人が人を見る目も変わり、目の前にある物事への “ 信頼 ” の儚さを目の当たりにします。
元々、目の前の物を捉える時の、自己の記憶や経験を踏まえた身体的な感覚と数字などの情報を含む科学的な根拠がどのように折り合っているかということについて問いていたこともあり、大湫町のご神木とその歴史、信仰について深く掘り下げたいと思うようになったそうです。
「本展示では、ご神木をめぐるリサーチプロジェクトのプロセス展示を、植物のスキャンデータを元にした抽象彫刻や、ご神木の一部を樹脂コーティングしたものを歌川広重が描いた中山道のイメージや貴重な歴史資料などと共に展開しています」と佐藤さん。
「おもかげのうつろひ」というテーマには、さまざまな意味が込められています。今までのご神木が生きてきた歴史そのものと、そこにあった空間、それと共に生きてきた人々のご神木への想いや宗教心など…その全ての「うつろひ」がこのギャラリーの空間全体を通して伝わってきます。
3Dスキャンした緻密な科学的データから自己の主観でパーツを選んで完成した、ご神木の抽象彫刻。写真の作品の凹んでいる部分は、佐藤さんがご神木の上に立たせてもらった時の足跡とのこと…!各パーツは一見すると白い彫刻ですが、よく見るとキラキラと光る素材が混ざっていて、佐藤さんの故郷の雪景色を彷彿とさせます。
緻密なデータと佐藤さんが実際にご神木に対面して感じた想いが詰まった彫刻が並ぶ空間に入ると、この展示会場で永遠の時を生きるご神木に、なんだか温かく包まれているような感覚に陥ります。
こちらは樹脂コーティングされたご神木の一部。時が止まりながらも、何か湧いてくるようなエネルギーを感じます。ゆっくりと流れてきた時に想いを馳せながら見つめていると、この中に吸い込まれていきそうです。
大湫町にまつわる歴史的な資料の展示コーナーは、今まで、そしてこれからのご神木のうつろひの背景ともなる興味深い内容となっています。
目の前に正確に再現されたご神木の彫刻に包まれるような、どこか懐かしいような…。不思議な感覚を身にまとった後に、ふと我に返ってみると、自分の目の前にある当たり前の物事の捉え方について、今一度、自己なりに考えるきっかけをくれるかもしれません。
自分の目で見て、からだ全体で体感する素敵な展示となっています。ぜひ、機会がある方は資生堂ギャラリーにお立ち寄りくださいね。
資生堂ギャラリーは岐阜トーキョーから徒歩6分のところに位置しています。ぜひ!お出かけの際には合わせてお楽しみくださいね!
資生堂ギャラリー
東京都中央区銀座8丁目8−3 資生堂銀座ビル B1F
TEL:03-3572-3901
営業時間:平日 11:00~19:00
日曜・祝祭日 11:00~18:00
GWの開館時間は下記の通り
4/29(祝)、4/30(日)、5/3-5/5(祝)、5/7(日)
11:00-18:00
5/2(火)、5/6(土)
11:00-19:00
休館日:毎週月曜日
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