さかだち編集部員の“おうち時間”のススメ【映画編】
さかだち編集部員が、家でのおすすめの過ごし方を紹介する“おうち時間のススメ”。以前、【読書編】をお送りしてから、少し時間が経ってしまいましたが、第二弾は【映画編】をお送りします!
今回紹介するのは、昔、映画館で働いていたこともあるという映画好きのデザイナーさんのおすすめの3本です。
普段はほとんど映画を観ないというさんが、さんに見どころを聞くという、ゆるーい対談形式でお送りします。
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【過去のない男】
『過去のない男 The Man Without A Past』(2002年/フィンランド)
監督:アキ・カウリスマキ
出演:マルック・ペルトラ、カティ・オウティネン
【あらすじ】
ヘルシンキに向かっていた主人公が暴漢に襲われて、記憶をなくす。死んだと思ったんだけど、生きていて、港町でいい人に拾われ、いろんな人の手助けがあって、人間らしさを取り戻す、というお話です。
高:すごいざっくりとしたあらすじ、ありがとうございます(笑)。フィンランドの映画なんですね。
石:このアキ・カウリスマキって監督の作品が好きなんですよ。…なんて説明したらいいのかな、なんか、いいんですよね。
高:…はい。
石:もの悲しそうなのに、どこか幸せがあって。それをあからさまでなく、何気なく見せるっていうか。喜怒哀楽を出すというより、淡々と見せていくんです。それが他の映画では観たことがない違和感があって、気持ちいいっていうか。
高:なるほど…。確かにジャケットの主人公の表情もかなり、静かというか…。あ、このDVDって2枚組なんですね。もう1枚は「Lights in The Dusk」?
石:邦題は「街の灯」っていうんですけど、これも非常におすすめです。この監督、同じ俳優をよく使うんですけど、この主人公たちも全然表情がないんですよね。
高:…驚くほどに無表情ですね。かえってストーリーが気になります…。
石:「過去のない男」は、記憶をなくす男の話なんだけど、人間って記憶=過去がないと、その人の痕跡がないってことだから、生きづらいんですよね。でも、主人公はいろんな人に助けられて人間らしさを取り戻すんです。…あれ、こんなストーリーで合ってるかな…?(笑)でも、僕はアキ・カウリスマキの作品の中でこれが1、2を争ういい映画だと思ってます。
高:なんだか、観てみたくなりました!
【ミッドナイト・イン・パリ】
『ミッドナイト・イン・パリ』(2011年/スペイン・アメリカ合作)
監督:ウディ・アレン
出演:オーウェン・ウィルソン、レイチェル・マクアダムス
【あらすじ】
シナリオライターで小説家を目指している主人公が、恋人とパリ旅行中に喧嘩して、夜道を散歩してると12時の鐘が鳴って、目の前に現れた古い車に乗り込んだら、主人公が憧れていた1920年代のパリにタイムスリップする、というお話です。
石:これは単純にタイムスリップものですね。タイムスリップ系、結構好きなんです。でも、この作品は現実と過去が地続きになってるっていうか、たとえば大掛かりなマシンがあるわけでもなく、大げさじゃないところがいいんですよね。ふと、ある街角を曲がったら時代が変わってしまう、みたいなことって想像しませんか?
高:なるほど。(…意外とロマンチストなんですね…。)監督はウディ・アレン。さすがに私も名前は知ってます!
石:彼の作品は、恋が軽いんですよね。軽やかさがあるっていうのか。ウディ・アレンの作品って、たいていは主人公の男性が非常に神経質で、ちょっと嫌な感じがあって、女性はムカつくと思うんですが(笑)、これは女性が観ても面白いかもしれません。
高:この主人公がパリでタイムスリップするんですね。
石:主人公はギルっていうんですが、突然現れた古い車に乗り込んだら、1920年代の文化人が集まるジャン・コクトーのパーティーに連れていかれて、そこに憧れの有名作家とかアーティストがいて、ギル大興奮!みたいな(笑)。
高:ほんとだ。登場人物にヘミングウェイやピカソ、あの「グレート・ギャツビー」を書いたフィッツジェラルドも登場してる…!
石:ヘミングウェイがむちゃくちゃ恐かったり、ダリは変わってるし…それぞれの役がはまってて、面白いんですよね。1920年代は実際にこんな感じだったのかなって。
高:さらに軽やかな恋も…!? やっぱりこれも観てみたくなりました!
【転々】
『転々』(2007年/日本)
監督:三木聡
出演:オダギリジョー、三浦友和、小泉今日子、吉高由里子
【あらすじ】
大学8年生とかで借金まみれのオダギリジョーの所に、取り立て屋の三浦友和がやって来て「借金を肩代わりしてやるから、散歩に付き合え」って言われて、三浦友和が気が済むまで二人で東京のあちこちを転々と散歩する、というお話です。
(役名は忘れたので、役者名で話しています)
高:あ、実は私、これは観たことがあります!なんていうか、すごいいい映画でした。
石:三木聡監督の作品は、独特のユーモアが炸裂してる感じだけど、ちょっと寂しい、悲しさみたいなものもあって、いいですよね。「時効警察」のオダギリジョーさんが主演で。
高:ほとんどストーリー忘れてしまったんだけど、小泉今日子さんが玄関先で何度も、あれ忘れた、これも忘れたって言って全然出かけられなくて、三浦友和さんがうんざりするシーンだけは、なんだかよく覚えてます。
石:二人は昔何か関係があったんです。オダギリジョーさんはずっと家族を知らないで生きてきてて、三浦友和さん、小泉今日子さん、吉高由里子さんとふと一時的に擬似的な家族みたいな生活を味わって、ちょっとうるっとしたりして。それをまた「泣いてんの?」とかってからかわれたりして。そういうところがいいんですよね。
石:そういえば、二人は東京をいろいろと散歩するんだけど、岐阜ホールがある上野の辺りも歩いてます。あの「愛玉子(オーギョーチィ)」の店もそのまんま撮影に使われてますよ。
高:そんなお店が出てたなんて、知らなかった!どの登場人物も役者がぴったりはまってる感じがしますよね。結末を忘れちゃったので、もう一度、新鮮な気持ちで観てみたいな。
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石:狙ったわけじゃないんですが、今回選んだ映画は3本とも、“今の場所じゃないところへ行く”っていう話でしたね。
高:まさに、家にいながらにしてちょっとトリップできる、おうち時間を楽しむのにぴったりの3本でした!
みなさんも、ぜひ、おうちで映画を楽しんでみてくださいね♪
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