【岐阜】制作現場を見学!/小村屋幟店
さかだちブックスで「暖簾(のれん)」といえば、毎度お馴染みの「小村屋幟店(こむらやのぼりてん)」さん。
「福丸」さん、「ぷちさむ」さん、「ラシェーズまちや」さんなど数々の暖簾を制作していただいてます。
今回、「ぷちさむ」さんが、前回制作した夏の暖簾の“冬のバージョン”を制作してほしいとお話をいただき、早速、小村屋幟店さんへ。
小村屋幟店さんのご夫婦は、とっても気さくで「よければ制作風景、見てく?」と声をかけてくださり、お言葉に甘えて制作現場を見学させていただきました。
江戸時代から変わらない“糊置き”という技法で、幟(のぼり)や暖簾、法被(はっぴ)などを制作されている小村屋幟店さん。
その技法を使用するのは、文字が大きい幟や暖簾などに使われいるらしく、今回は細かい絵柄なので「スクリーン印刷」でした。
お店の奥に工房があります。こちらが今回制作する、ぷちさむさんの暖簾の“型紙”。
暖簾のサイズが大きいため、左右にわけて刷っていきます。
ちなみにこの“型紙”は機械などを使用せず、ひとつひとつ手作業でカットされているそうです。…すごく根気のいる、細かい作業。いつもありがとうございます。
その“型紙”とインクを通すメッシュにアイロンをかけて、貼り付けていきます。
ゆっくりじっくり、柄の細かいところはとくに丁寧にアイロンをかけていきます。
台をあげてみると…、型紙が貼り付きました!
これでインクが染み込む部分と染み込まない部分の出来上がりです。
型紙が貼り付いたメッシュに、インクを流し込んでいきます。
そのインクが均一になるよう大きなヘラを、一定の速度で伸ばしていきます。
リトルの臼井、見とれて口が半開き(笑)。
全体にインクが塗り終え、台をあげてみると…。
あれっ、布が敷かれてない!? 台には先ほど刷ったインクだけが残ってます。
…もしかして、布を敷くの忘れたのかな?
ちょっと気まずい空気が工房に流れます。
実はこれ、“裏面用”に刷ったもの。布を忘れたわけではありません。
表側からインクが浸みているだけでは見栄えが悪いので、裏側から見た時でも色が綺麗にみえるよう、最初に裏面用に絵柄を刷るそうです。
両面刷ってたんだ。すごい。
先ほどのインクだけのった台に、布を敷きます。
呼吸を合わせて慎重に…。何も言わなくても息がピッタリです。
それではようやく表面を刷っていきます。
先ほど同様、大きなヘラで手際よく、丁寧にインクを伸ばしていきます。
何往復かインクを伸ばしたら、少し休憩。
伸ばす作業に疲れたわけではなく、インクが染み込むのを待つためです。
インクの量や粘度、季節によって染み込ませる時間が違うのだそう。
明確に時間を決まっているわけではなく、長年の職人の“感”で判断されるのだとか。
少し時間が経ち、版を上げると…
おぉ!! 布地にきれいに絵柄が刷られています!
刷り終わった布はハンモックのように柱にかけられ、乾燥するのを待ちます。
布を乾燥させるため、すごい速度で小さな釘に布の端を刺し留めていきます。
あまりの速度に「刺さったりしないんですか?」と訪ねたところ、「たまに刺さるよ、でももう慣れちゃったね」と笑って答えてくださりました。
何十年も作り続けているからこその手際の良さなのだと実感。
インクは晴れている日であれば1日で乾くそうですが、この日は少し曇りだったので乾くのに1日から2日ぐらいかかるとのこと。
乾いた後、一度お湯で洗い流して、糊をとるのだそう。再び乾いたら、写真の上の布と下の布を縫い合わせたら、ようやく暖簾が完成します。
暖簾の出来上がりが今から、楽しみです!
完成はまた次の記事でご紹介します。
小村屋幟店
住所:岐阜県岐阜市金園町6丁目2
電話:058-246-2626
ぷちさむ
住所:岐阜県岐阜市徹明通り1-26
営業時間:11時〜18時30分
定休日:水曜日
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