【笠松町】「木曽川染絨」さんに工場見学に行ってきました!

草木染めのファクトリーブランド「kiso natural dye(キソナチュラルダイ)」を2021年9月に立ち上げた、笠松町にある「木曽川染絨(きそがわせんじゅう)」さんへ取材に伺いました!

ザクロ、柿渋、玉ねぎ、アカネなど国産の天然素材を用いて染め上げた「kiso natural dye」の服は、ナチュラルで深みのある色合いが特徴。動きやすさや着用時のシルエットまで考えてつくられていて、ゆったりとした着心地の良さがありながらも、しっかりお洒落に見せてくれます。

また、環境に配慮した素材や製造を大切にしていて、生地にはオーガニックコットンなど、土壌や微生物の働きで分解できる“生分解性”の素材を使用しています。

まさに「毎日着るものだから、自分にも環境にも優しい服を身につけたい」という女性にぴったりな、これから注目のブランドです。そんな「kiso natural dye」はどんな経緯で誕生したのでしょうか。そのストーリーを伺いに、木曽川染絨さんを訪れました。

木曽川染絨さんの工場をいざ見学!

実は木曽川染絨さんは、もともと生地の染色や加工を専門とする会社です。1950年の創業以来、3代にわたり、全国に流通している服地の染色や起毛などの加工を行ってきました。

工場の中を覗いてみると、棒状に巻かれた出荷待ちの生地がずらり!

こうした生地は、どのように染色され、私たちが着る衣服の素材になっているのでしょう。特別に工場を見学させていただいたので、まずはその模様をレポートします!

生地の加工には、主に「染色」→「仕上げ」→「検査」の3段階があります。

まず初めの工程「染色」に使われるのは、2種類の機械。綿を染める時は「常圧」液流染色機(写真1枚目)、ポリエステルなどの化学繊維を染めるときは「高圧」液流染色機(2枚目)と使い分けているんだそう。

高圧液流染色機の中を覗いてみると、洗濯機のように中で生地がぐるぐると回っている様子が見えました!

染めた生地は、こちらの「遠心脱水機」で脱水をしていきます。

筒型の機械の中からするすると生地が下から上に向かって繰り出てくる様子は圧巻です!

カット前の生地

その後、「開反(かいたん)」という工程で生地をカットします。実は、染める生地は「丸編み」という方法で編まれていて、筒状になっているんです。開反の工程で生地を裁断し、一枚の布にするんですね。

生地をカットし、乾燥させたら必要に応じて起毛加工を施します。

とっても細かい針状のローラーに生地を通し、糸の網目をカットすることで表面をふわふわさせているのだそう。

これが、起毛した面(右)と裏面(左)です。並べてみると、その違いは一目瞭然ですね!

こちらの「ヒートセット機」では、熱を加えることによって生地が規格の幅になるよう調整しています。生地をカットするのではなく熱で幅をそろえていることに驚きです!

最後に生地の色や幅が間違っていないか、キズなどがないかを人の目で丁寧にチェックして出荷します。加工された生地は、私たちもよく目にするアパレルブランドなどに卸されているそう!

たくさんの専用機械を使って染色をすると聞くと無機質なイメージを持ちますが、どんな製品も、やはりそこで働く方々の技術と気持ちによってつくられているのだと感じさせられました。

「kiso natural dye」で出会う草木染めの服

今回見学させていただいたのはメーカーに卸す生地を染色・加工している様子でしたが、オリジナルブランド「kiso natural dye」の商品も、その技術をベースに製造されています。

草木染めの魅力は、優しい色合いと、安心・安全で環境に優しい素材であるということ。

「草木染めBotanix」シリーズは、植物由来の天然染料を100%使用しているため、染色の際の廃水は環境にほとんど負荷をかけません。

また自然の素材であるため、わずかな色ムラや色落ちによる経年変化も味になっていくのも、草木染めならではの良さですよね。

そのほか、「kiso natural dye」では、植物染料によるナチュラルな色味と鮮やかな化学染料を掛け合わせて生まれた「草木染めBOTADEGI」シリーズも展開しています。

「草木染めといえばアースカラー」という常識を覆す発色の良いカラーが可愛く、コーディネートの主役にもなれる存在感があります。

受託加工から自社商品の開発へ。3代目社長の挑戦

さて、長年受託専門で生地の染色を行なっていた木曽川染絨さんですが、なぜこのようなブランド「kiso natural dye」を誕生させることになったのでしょうか。3代目社長の安藤篤史(あつし)さんにお話を伺いました。

「実はもともと飲食系の仕事に就きたいと思っていて、前向きに家業を継いだわけではなかったんですよ」と安藤さん…!しかし、家業を継ぐために訪れた修業先で、百貨店での服の販売の現場に立つ機会があり、にこにこと嬉しそうな笑顔で服を買っていくお客さんの姿を見て、この仕事の魅力を発見したのだといいます。

当時、木曽川染絨さんは染めや加工を請け負う専門工場だったため、生地を出荷した後に、それがどのような製品となり、消費者のもとに届いているのかを知ることはほとんどありませんでした。

「これからは、お客さまの顔が見える仕事をしたい」。

そう強く感じた安藤さんは、自社で生地を染めて加工し、製品を作り、お客さまに届けるところまで関われるファクトリーブランド「kiso natural dye」の立ち上げを決意したのです。

こうして始まったブランドづくり。時代のニーズや“環境にやさしいものを”という思いから「草木染め」をコンセプトに掲げましたが、実は当初は草木染めに関する知識や経験は全くなかったそうです。

そこで、70年にわたり培われてきた機械染めの高い技術を活かし、天然染料と化学染料を融合させた「BOTADEGI」加工を施すなど、木曽川染絨さんならではの工夫によって、オリジナルの商品開発を実現しました。

ちなみに草木染めの場合、「染色」の工程は通常の化学染料に比べて2倍の時間と手間がかかるそう!さらに、天然の素材を原料とするため、同じ染料でも収穫時期や温度などのちょっとした差で色合いが変わってしまいます。そこで、熟練のスタッフが長年の経験をもとに、染めの時間と温度を調整しているのだとか。

最後に、安藤さんにこれから挑戦したいことをお聞きしたところ、「岐阜の植物、たとえば有名な淡墨桜から染めた生地でドレスをつくってみたいですね。ほかにも岐阜県各地の名物を使った服を作って、岐阜の魅力が広く伝えられたらいいなと思います」と語ってくれました。

THE GIFTS SHOPでは9月にPOP UP STOREを開催予定!

「kiso natural dye」の商品は現在、木曽川染絨さんのオンラインストアでご購入いただけます。

そして、2022年9月7日〜21日には、THE GIFTS SHOPで 「kiso natural dye」のPOP UP STOREを開催する予定です!後日改めて、さかだちブックスの記事でおすすめの商品や注目ポイントをご紹介させていただきますので、どうぞお楽しみに〜!


木曽川染絨株式会社

住所:岐阜県羽島郡笠松町田代185

TEL:058-388-0361

WEBサイト:http://kiso-textile.co.jp/

Instagram:@kiso_naturaldye

オンラインストア:https://kiso-online.shop/

2022年09月01日作成
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