【岐阜市】岐阜県美術館/企画展「クロスアート4 ビロンギング−新しい居場所と手にしたもの−」6/23まで開催中!
岐阜市にある岐阜県美術館では、2024年3月29日(金)~6月23日(日) まで企画展「クロスアート4 ビロンギング−新しい居場所と手にしたもの−」が開催されています。
「クロスアート」とは、岐阜県ゆかりの美術家を紹介する、岐阜県美術館のシリーズ企画。第4弾となる今回の企画展は、「所属」や「持ちもの」といった意味がある“ビロンギング”と題して、もともと岐阜県に“所属”し、現在はそれぞれが“持つ”感性や技術を活かして、日本や世界で活躍するアーティスト5名の作品が展示されています。
そんな見応えたっぷりの企画展「クロスアート4 ビロンギング」を参加作家ごとにご紹介します!
◆松山智一
会場の入口すぐに展示されているのは、高山市出身で、現在はニューヨークで活動している松山智一(ともかず)さんの「Fictional Landscape」シリーズ。円や雲形定規のような曲線のキャンバスに描かれた、鮮やかな色使いのペインティングが目を引きます!
岐阜に生まれ、少年時代をアメリカで過ごし、日本の大学では経済学を学んだ後、渡米してデザインからアートの道へと進んだ松山さん。作品には、これまで日本やアメリカでの中で“マイノリティ”として生きてきた自身の来歴が表現されていたり、世界中のさまざまなモチーフが組み合わされたりしています。
たとえば、アメリカのファッション誌のモデルのようにポーズをとる人物の周りには、日本画のように緻密に描き込まれた花鳥風月や動物たち。よく見ると、缶詰やスナック菓子など、現代の生活に実在するものも描かれています。
一見童話の挿絵ような幻想的な絵画は、ただ眺めているだけでももちろん美しいのですが、古今東西のさまざまな要素がミックスされているので、じっくり鑑賞するほど発見があります!
◆公花
岐阜市出身の公花(きみか)さんの展示スペースでは、大きな布がアーチのように掲げられた作品が出迎えてくれました!
スペインを拠点に、アフリカ最後の植民地支配の影響を受ける女性たちがまとう民族衣装「メルフファ」を題材とした制作活動を行う公花さん。今回の企画展のために制作された「鼓舞の舞」は、現地で暮らす女性たちから譲り受けたメルフファをつなぎ、重ね、染めて作られています。作品を通じて、女性たちは砂漠の中に暮らしながらも、ファッションを楽しみ、力強く生きているということが伝わってきます。
そのほかにも、女性たちからもらったメルフファをコラージュした作品が並んでいて、映像では実際に女性たちが身にまとったメルフファを自ら割いて公花さんに手渡すシーンも流れていました。作品に使われている1枚1枚のメルフファから、遥か遠くのアフリカの地に暮らす女性一人ひとりに想いを馳せてしまいます。
◆後藤映則
続いて、真っ暗な展示室で鑑賞するのは、各務原市出身の後藤映則(あきのり)さんの作品。部屋の中央に置かれた花のような巨大なメッシュ状の立体物は、光が当たると、踊る人の輪郭が次々と現れ、動き出します!
後藤さんは、現代的なテクノロジーと古くから存在するメディアや素材を掛け合わせ、動き、時間、生命感を扱う作品を多く手掛けていて、「ENERGY #01」と題されたこのインスタレーションも、そんな手法を用いて作られた作品の一つ。
横断歩道を渡る人々の姿をモチーフにした作品や、反対方向に歩く人が一点に留まっているかのように見える作品も展示されていました。
暗闇の中で次々と現れては消える光の輪郭は、美しくもどこか不思議で、目が離せなくなります。写真だとうまく伝わらないのですが、ぜひ、自分の目でその動きを観ていただきたい作品です!
◆山内祥太
岐阜市出身の山内祥太さんは、彫刻と映像分野で活躍する中、コロナ禍で身体を晒すパフォーマンスに傾倒。今回の企画展でも、顔や皮膚、体臭といった肉体の表層をモチーフとした作品を展示しています。
大きなスクリーンに“匂い”のイメージが次々と煙となって現れる「Apparition」や、皮膚や内臓をラテックスという素材で表現した「ラテックスオブジェ」、さまざま人種の顔やアプリで加工された顔、浮世絵の歌舞伎役者などの仮面がどんどん覆い被さっていく「カオ1_Waterfall」など、少し不気味で迫力のある作品を鑑賞していると、私たちの身体や、身体にまつわるものとは何なのか、物体としての自分自身とは何なのかを考えさせられます。
◆横山奈美
最後に展示されていたのは、笠松町出身の横山奈美さんの作品。代表作であるネオンサインの作品は一見、写真のように見えますが、実は油絵で描かれているんです!
「Shape of Your Words」シリーズとして企画展に合わせて制作された本作で、横山さんは、自分の家族や親戚が書いた「I am」の文字をネオンサインで再現してもらい、それを油絵で写生しています。
ネオン管の後ろにあるフレームや配電線も描かれていて、表に見えるものだけでなく、その背景にある“見向きされないものに焦点をあてる”という横山さんの作品づくりへの想いが表れています。
コロナ禍に岐阜県美術館に滞在して制作した「forever」は30日間、毎日、前日に描いた自分の絵を模写し続けた作品。芝生に横たわる少女が着ているTシャツのロゴが毎日違っているほか、顔の表情や足の向きなども微妙に違っているので、一点一点、注意深く鑑賞したくなります!
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岐阜生まれ、という共通点がありながら、テーマや表現方法が異なる多彩な作家の作品が集まった企画展「クロスアート4 ビロンギング」。現在、世界で活躍されているアーティストたちが、岐阜にルーツがあるのだと知ると親しみが湧き、誇らしくなりますよね。
企画展の開催は6月23日までなので、ぜひ足を運んでみてくださいね!
岐阜県美術館 クロスアート4 ビロンギング -新しい居場所と手にしたもの-
開催期間:2024年3月29日(金)~6月23日(日)
開室時間 : 10:00~18:00(展示室の入場は17:30まで)
夜間開館:4月19日(金)、5月17日(金)、6月21日(金)は20:00まで開館
休館日 : 月曜(祝日の場合はその翌平日)
観覧料:一般 1,000(900)円/大学生800(700)円/高校生以下無料
()内は20名以上の団体料金
会場:岐阜県美術館 展示室3(岐阜市宇佐4‐1‐22)
WEBサイト:https://kenbi.pref.gifu.lg.jp/events/crossart4/
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