【さかだちインタビュー】吉成信夫さん、「本のひみつ基地」で大いに語る。《前編》

2024年7月末に岐阜高島屋の閉店に伴って一時休業し、9月1日に「無印良品 柳ケ瀬」としてリニューアルオープンした無印良品。その店舗の一角に、巨大な本棚が出現したのをご存知でしょうか。

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そうなんですよ!「柳ケ瀬文化的地層研究会」っていうのを、僕と、岐阜放送の社長でメディア史に詳しい山本耕さんと、岐阜地理学会理事の安元彦心(げんしん)さんと3人で立ち上げて、その3人が発起人になってこの「本のひみつ基地」をスタートしたんです。

1階の本棚には柳ケ瀬商店街の商店主のおすすめ本を並べていて、本を通して柳ケ瀬の今から、この先のことまでを描いていくようなイメージかな。2階は今のところ3人の蔵書を並べているんだけど、これからどんな人が出てくるか、集まるかによって変わっていくと思うよ。

柳ケ瀬や無印良品に来た人が、本を読んだり、ゆっくり過ごしたり、“何も目的がなくてもいられる場所”になったらいいなと思ってて。偶然居合わせた人で何かが始まっていったりしても面白いよね。

今、安心していられる場所や、美しくて気持ちの良さがある場所って減ってるよね。高島屋もなくなって、買い物ついでに寄ったり、おしゃべりできたりする場所って、あまりないじゃない。特にお金を払わなくてもそういう風に居られる場所って、柳ケ瀬にあんまりないでしょ。だから、そんな場所ができるといいなと思って。

この場所をどんな名前にしようか考えていたときに、サロンっていうともう時代的にちょっと違うかな、と思ってたら、木村大輔さん(良品計画 岐阜事業部長)が“秘密基地”って言い出して、それに僕が“本の”って付けて、それで「本のひみつ基地」に決まったんだよね。

2階にはテーブルと椅子もあり、誰でも無料で自由に過ごせる


メディコスを今年の春に辞めることは1年前から決めていて、その後どうしようかと思ってたんだけど。家に閉じこもっていられるタイプじゃないしね(笑)。

そしたら、(全国で初めて無印良品と市立図書館がコラボした)可児市立カニミライブ図書館の設立の頃から、メディコスのシビックプライドライブラリーを案内したりして繋がりがあった無印良品さんから、「吉成さん、新しい机をうち(無印良品 柳ケ瀬)に置きませんか?」って提案してもらったんですよ。それが、今年に入って、しかもメディコスを辞める1カ月くらい前、4月くらいのことだったかな。

そうそう!「吉成さんが週に1回くらい柳ケ瀬に来るための机があったらいいでしょう。『MUJI』っていうブランドは考えてもらわなくてもいいですから」って言われて、「ほんとにそれでいいんですね?それじゃあ、やってみましょう!」って(笑)。

それでも最初はまさか、と思ってたんだけど、実際にリニューアル後の図面を見せてもらったら、ちゃんと僕の机が図面に入ってたんだよ!それで、無印良品さんの“場を地域に開く”ということへのしっかりした姿勢が感じられて、「こりゃ、僕も本気でやらなくちゃいけないな」と思ってさ。

そうだね、でも、僕の机があるんだから、もうやるしかないわけよ(笑)。最初はコンセプトもない状態だったから、まず「本のひみつ基地」って名付けて、7、8月は一気にこの場所にどういう性格を持たせるのか、方向性だけは作らないとってことで、「柳ケ瀬文化的地層研究会」の3人で喫茶店に集まって、ああでもないこうでもないって、とにかくずっと話してたね。

うん、そうかもね。やらされてるんじゃなくて自主的に集まってたから、すごく楽しかったなあ。

こうして吉成さんの新たなデスクが無印良品2階の「本のひみつ基地」に設置された

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思いがけず、メディコスから「無印良品 柳ケ瀬」へと机を移し、週に1日ほど、「本のひみつ基地」に現れることになった吉成さん。さて、ここがどんな場所になっていくことを思い描いているんでしょうか。気になる続きは、明日公開の後編へ!

※ 【さかだちインタビュー】吉成信夫さん、「本のひみつ基地」で大いに語る。《後編》はこちら


本のひみつ基地

住所:岐阜市日ノ出町2-15 無印良品 柳ケ瀬内

利用時間:10:00〜18:30、無休 ※「無印良品 柳ケ瀬」に準じる

2024年10月10日作成
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