【THE GIFTS SHOP】白百合工房(高山市)

高山市国府町にある「白百合工房」さんは、無垢材を使用した木のおもちゃや木製のオーダー家具などを製作している工房です。代表的な木のおもちゃは、THE GIFTS SHOPでもお取り扱いさせていただいている「つみぼぼ」。

飛騨高山のお土産としても知られる人形の「さるぼぼ」をモチーフとして作られたかわいらしい積み木ですが、この「つみぼぼ」は、どのように誕生したのでしょうか。

白百合工房の2代目で「つみぼぼ」を考案した上野望さんにお会いして、お話を伺ってきました。

高山市のまちなかから車を走らせること約20分。たどり着いたのは、青々とした田んぼの向こうに山が連なるのどかな場所でした。

味のある字で「白百合工房」と書かれた看板。工房の至るところに、乾燥させた木材が積まれています。

広々とした工房の中では、若い職人さんたちが黙々と家具作りをしていました。林業が盛んな飛騨の地で、1982年に「白百合工業」として創業したこの木工製作所は、2000年に「白百合工房」と改められました。現在はブナやホオ、ナラ、カエデなど、10数種類の木材を扱っているそうです。

入り口に置かれた段ボールの中には、たしかにいろんな色や木目をした端材が積まれています。

「飛騨は冬の寒さで木の成長がゆっくりになるため、よく締まったいい木が多いんですよ。特にトチの木がきれいですね。昔から、木はその性質に合わせて、いろんなものが作られてきたんです。キリは防虫効果があって湿気を吸ってくれることから箪笥に使われてきましたし、硬くて強度のあるツゲは櫛(くし)、やや柔らかで彫りやすいホオは木版木や刀のさやに使われました。まさに適材適所ですよね」。

つみぼぼの胴体に使われているのは、岐阜県加茂郡東白川村産のスギ。縞模様の色が薄くて広い部分は夏目、濃くて狭い部分は冬目と呼ばれています。木は暑い夏には早く成長し、寒い冬にはゆっくり成長することから、こういった年輪が生まれるんですね。

「通常、木製品を作るときは木を縦に割って板にします。だから、木目の現れ方もこうなるはずなんですが、つみぼぼは胴体の部分にあえて年輪が見えるように、木を輪切りにした状態で作っているんです」。

なるほど、胴体には年輪が縞模様のようにくっきりと現れています。同じスギでも、育ち方によって年輪の出方が全く違います。この縞の一つ一つが木の1年の成長を表しているのだと思うと、とても愛おしくなりますね。どんな場所で育ったスギだったのかな、と想像してしまいます。

ちなみに頭の部分には飛騨産のカエデが使われています。「胴体は軽いスギ、頭には椅子などにも使われる強度があって重いカエデを使って頭と胴体の重さのバランスを変えることで、遊び方に広がりが生まれるんですよ。たとえば、逆立ちをさせたり、斜めに積み上げたりすることができるんです」。

実はつみぼぼには、たくさんのアイデアと工夫が凝らされているんですね!

「それじゃあ、ちょっと座ってお話をしましょうか」と言って、すたすたと歩いていく上野さんに付いていくと…。

なんと、工房の裏にこんな開放的な応接室が…!(笑)

「よく、休憩時間にここでのんびりするんです。ハンモックで本を読んだりね」。こんな場所で自然を身近に感じながら、ものづくりをされているんですね。

「つみぼぼが生まれたきっかけは、美濃市にある『岐阜県立森林文化アカデミー』の勉強会に参加したことでした。東京おもちゃ美術館館長の多田千尋さんの講演を聞いて、日本の木製おもちゃの自給率はわずか5%未満だということを知って、それならば日本製のオリジナルの木のおもちゃを作ろうと考えたんです」。

また、グループで木について勉強したときに、日本の森林は手入れがされていないために“緑の砂漠”と呼ばれている現状についても学んだのだそう。「日本の山には針葉樹が多く、古くから建築材として使用されてきました。しかし、大切に木を育てても安い値段しかつかないことが多くなり、いつしか山が手入れされないまま放置されることが増えてしまったんです。そこで、広葉樹のカエデと針葉樹のスギの両方を使ったおもちゃを作ることで、その木のおもちゃを通して、そうした木や林や森、山に関心を持ってもらえたらと思ったんです」。

飛騨高山のお土産としても馴染み深い「さるぼぼ」に着目したのは、さるぼぼの由来は諸説ありますが、山深く貧しかった“飛騨の国”で赤ちゃんが元気に育つようにとの願いを込めて作られた人形であり、災難が「去る」とかけて猿の赤ちゃんをモチーフにしている縁起の良い人形でもあることからでした。

「子どもがすくすく育ってほしいという思いをもって作られているところがいいなと思って」。

完成までには何度も試作を繰り返し、実際に保育園で子どもたちにも遊んでもらい、園児や保育士たちのアドバイスを取り入れながら改良を加えたのだそうです。「自分一人の思いだけじゃなく、みんなのアイデアが集まって生まれたおもちゃなんですよ」。2011年に完成し、翌年に販売をスタートすると、2013年には「高山市新作土産品」の最優秀賞を受賞。同年に「グッド・トイ2013」にも選ばれました。

「つみぼぼは、バランスを取りながら積むことで指先の神経を鍛えたり、何かに見立てて形を作ることで創造力を養うことができます。とにかく、実際に遊んでみるのが一番です!ちょっと作ってみましょうか」。

つみぼぼの生みの親である上野さんも、実際に積み上げるときは真剣そのものの表情に…!わずかなバランスの差で崩れてしまうこともあり、思った以上に難しいんです。

無事に完成!さて、これは何かわかるでしょうか…?

そう、「かたつむり」です!

「ワークショップを開催すると、とにかく子どもたちが自由な発想で積み方や遊び方をどんどん考えてくれるんです!こんなのを作ってくれた子もいましたよ」。

こちらは、巣から顔を出すツバメの雛。大きな口を開けて餌を待っている様子がうまく再現されていますよね。

こんな風に、馬も作れます!

つみぼぼは、手の角度と足の角度、胴体のウエストのくぼみ、そして胴体と頭の木の重さの違いや厚みの違いなどが絶妙に計算されていて、積み方や組み合わせ方の自由度がとても高いため、こんな風にいろんな形を作り出すことができるんですね!

リーフレットには、つみぼぼで作れるものの一部が紹介されています。こいのぼりや朝日、東京タワーなども。

ここで、取材に伺った編集部も難易度の高いトーテムポールに挑戦…!ものすごい集中力を駆使して、無言でチャレンジすると…。

できました!!!嬉しいー!!

実際に体験してみると、心地いい木の手触りを感じながら、童心にかえって遊ぶ楽しさ、そして出来上がったときの達成感や嬉しさをひしひしと体感することができました。

つみぼぼ 16体入 税込6,600円、6体入(無塗装・赤色各3体)税込3,300円

子どもだけでなく、大人も夢中になって遊べる素晴らしい木のおもちゃ「つみぼぼ」。出産祝いやお子さまへのプレゼントだけでなく、いろんな世代の家族や友人とゲーム感覚で楽しむのもおすすめです。

「つみぼぼ」はTHE GIFTS SHOP店頭のほか、オンラインストアでもご購入いただけます!


白百合工房

住所:高山市国府町瓜巣550-1

TEL:0577-72-3733

WEBサイト:https://www.tsumibobo.com/

2021年10月18日作成
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