リトルのデザインミーティング01

さかだちブックスを運営しているのは、デザイン会社のリトルクリエイティブセンター。ということで、リトルのメンバーは、ほとんどがデザイナーです。

そこで、デザイナー同士で最近気になっていることやデザインのヒントになりそうなアイテム、出かけた展覧会の話などを共有する「デザインミーティング」を開くことに。

この日は横山さんが旅行先で買ってきたおみやげなど、おやつも準備万端。和やかな雰囲気でミーティングがスタートします。

青木さんは早速、1冊の本を紹介。

「これは、『タローマン』の本です!1970年代のウルトラマンとか特撮ヒーローが全盛期のころに放送されていた知る人ぞ知るヒーロー『タローマン』の公式ファンブックなんですが、ストーリーとか登場人物の紹介が載っていたりして、すごく読み応えがあって面白いんです。帯にはあのサカナクションの山口さんが推薦コメントを書いてます!この『タローマン』は2022年に再放送されて『小さい頃見てた!』『これ見て育った!』と大人たちが言い出したことで、再ブームになってるんですよ」と熱弁。

「え、そうなの?知らなかった!岡本太郎さんの世界観が満載だね!」「この本、すごく面白い!デザインにも昭和っぽさがあっていいね」「こんな特撮ヒーロー、いたんだ…!」と、ひとしきり盛り上がったところで…。

「というのは…全部嘘なんですよ!」と青木さんから衝撃の一言。まわりのみんなが「???」とざわつきます。

「2022年に“再放送”という形で『タローマン』の全10話が実際に放送されたんですが、もともと1970年代に放送されていた訳ではなくて、実はそれが最初の放送だったんです。つまり、タローマンは1970年代の特撮ヒーローとして作り上げられた架空の世界。でも、スタッフも当時の作り方で映像を作り、公式ファンブックやグッズも作って、さらに周りの人もSNSとかでガチで当時のことを懐かしんだりして…世の中のみんな、いい大人たちが“嘘”をついて『タローマン』で盛り上がってるんです。“懐かしさを作る”というコンテンツとしても面白いし、みんなが真剣にふざけてるのも面白いなって思って」。

本当にタローマンというヒーローがいたんだと信じたメンバーも、見事な“嘘”にすっかり乗せられてしまったのでした!

横山さんは旅先の岡山で買った虎の張子人形を紹介。「民芸品っていいよね。ぱっと見が不細工で、崩れているのも愛嬌があって。作ってるおじいちゃんから直接買ったんだけど、買う時に『めちゃかわいい!』って言ったらニヤってしたのも可愛かった!」とのこと。ほかにも、パンに乗せてトーストする羽二重餅やパッケージが気になるお菓子などを披露しました。

最近、紙媒体のデザインを手がけることが増えた林さんは、お店や古本屋さんで見つけたフリーペーパーや雑誌を紹介。

東京23区を1つずつ紹介していく「TO magazine」は2014年に発行された雑誌ながら、今もデザインが褪せず、編集者がその区に移り住んで作るという内容も熱量が感じられて思わず手に取ってしまったのだそう。

中村さんは韓国の5人組アイドル「Red Velvet」の多彩なグッズ展開について説明。「とにかくデザインや展開がすごくって、つい買ってしまうんです!たとえばこのバッグも赤と白バージョンがあったり。全部で20形態くらいある中から、選んで買えたり、ランダムに買えたりするのも楽しくて。きっとこのグループを推していない人でも手に入れたくなるんじゃないかと思います!」。

テーブルの上にはかっこいいビジュアルで作り込まれた実際のコレクショングッズがずらり。「私は観賞用と保存用に2つ欲しいくらいです!でも収納が足りなくて(笑)」。

「私がK-POPにハマったのも、その規模や時間、お金のかけ方のスケールが違って、びっくりしたのがきっかけでした。アイドルそれぞれにコンセプトがしっかりしていたり、それぞれが作品として成り立っててすごいなと思って、のめり込んだんです」。そんな中村さんの言葉にみんな納得して頷き合いました。

櫻井さんは日本まちやど協会が発行する雑誌「日常」を紹介。「独立系のセレクト本屋さんで買ったんですが、写真もレイアウトも、製本もデザインも面白いなと思って」。複数の執筆者が記事を書いていて、どこかレトロな雰囲気のある紙面デザインに惹かれたそう。

また、2023年11月23日〜2024年3月10日に21_21 DESIGN SIGHTで開催されていた企画展「もじ イメージ Graphic 展」に出かけた感想も共有。

「グラフィックが中心で、タイポグラフィとかが多いんですが、デザインの起源とか歴史、現代デザインまで幅広く展示されていました。最近話題のデザイナーの装丁本とかも展示されていて。あと、中国や韓国はモーションがついたディスプレイがはやってるみたいで、モーション付きのグラフックディスプレイも多かったです」。Sulki&Min(チェ・スルギとチェ・ソンミンによる韓国デザインユニット)の展示も印象的だったそう。

同じデザイナーといっても、それぞれに興味のあるものやアンテナの張り方が違うことがわかり、いろんな情報やアイデア、ヒント、刺激に富んだデザインミーティング。とても盛り上がったので、今後も不定期で続けていくことになりました!

2024年03月14日作成
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