【岐阜・養老】養老天命反転地/観光名所

hantenchi01

行ってみたいと思っていたけれど、中々行く機会が見つからずに

何年も経ってしまうという場所が皆さんにもあると思います。

私にとってのそんな場所が養老天命反転地でした。

 

つい叫びたくなるような少年マンガの必殺技みたいな名前を持つ

養老天命反転地とはどんな場所かというと

現代美術家の荒川修作氏(1936~2010)と

詩人であり妻である米国人のマドリン・ギンズさん(1941~2014)との共作による

1995年に岐阜県養老町に作られた体験型の芸術作品です。

 

hantenchi02

死へ至る「宿命(天命)」を反転させるために平衡感覚を消失させる体験を通して、古い常識を覆す

という何やら深い意味が込められているようですが、

単純に何だか普通じゃない場所といっても差し支えないでしょう。

意味が難解になればなるほど、作品が示している広大な世界は閉じられて、

窮屈なものになってしまうと思います。

 

意味を気にするよりも、分かりやすくとにかく作品が大きいのです。

壁に飾られる絵画の多くは視野に収まりますが

視野に収まらないし、中を歩けるし、時によって、場所によって見え方が変わるし

どう見たら、どこから見たら良いのか分かりません。

きっと正解などないのでしょう。

hantenchi03

 

私が雨の中、この作品の中を歩き回っている時、終始頭の中には

「まったく芸術ってやつは…」という思いが渦巻いていました。

「…」の中には色々と含まれています。

 

この養老天命反転地のような体感する芸術をインスタレーションと呼びます。

インスタレーションでは視覚以外の感覚を刺激して、

理解を超えた頭だけにとどまらない衝撃や違和感を体中に与えます。

芸術が難しいとよく言われているのは

古くからの芸術が批評によって言語化され

芸術に意味が求められるようになったために

必要以上に哲学的になってしまったからではないでしょうか。

インスタレーションはそんな頭でっかちな芸術への反抗ともとれます。

 

hantenchi04

体感できる芸術の中で芸術とともに自然がもたらす雨を体感していました。

傘に落ちる雨音、壁に埋め込まれたキッチン、

覚束ない足元、地面に敷かれた屋根瓦、

湿った背中、英語や中国語で書かれた区画、

そして濡れた斜面を下る時、滑って転び尻もちをつき

そのまま滑り台さながらにお尻から滑り落ちてしまいました。

幸いに怪我はなかったのですが

それから一切、芸術について考えられなくなったのでした。

 

「まったく芸術ってやつは最高だ」

「まったく芸術ってやつはやっかいだ」

「まったく芸術ってやつは足元が悪い」

「まったく芸術ってやつは傘めっちゃ邪魔」

「まったく雨ってやつはやっかいだ」

「まったく雨ってやつは最低だ」

hantenchi05

雨の日に訪れるのはおすすめしませんが

感じたことのないような気持ちになるのは間違いありません。

一度、訪れてみてはいかがでしょうか。

 

http://www.yoro-park.com/

2015年09月04日作成
関連記事