【養老】養老天命反転地/岐阜観光名所

近年、アニメの舞台として登場したことや、SNSの普及によって話題沸騰の奇想天外なテーマパークが岐阜の養老町にあります。

その名も「養老天命反転地」。現代美術家の荒川修作さんと、そのパートナーで詩人のマドリン・ギンズさんによる、巨大な体験型アート作品です。

この日は職員さんに、養老天命反転地の解説をしていただきながら、その魅力と楽しみ方を探ってきました!

まず始めにお出迎えしてくれるのは24色の色鮮やかで変わった形をした建物。

ここは「養老天命反転地記念館」として施設全体のオープンから2年後1997年に完成しました。

もともとはオフィスとして建てられており、過去には実際にここで働いていた職員さんがいらっしゃったのだとか……!

建物の中もカラフルで、ここで仕事をするのはさすがに落ち着かなさそう(笑)。

あれ、この写真なんだか違和感が……。リトルの林さんが天井に“座って”います!

実はこの建物、天井と地上が双子構造になっていて、転地をひっくり返しても景色が変わらないのです。

ここは来場者にとって撮影スポットのようになっていて、SNSでもよく見られます。

 

続いてもまた変わった外観の建物。

これはメインパビリオンの一つ、「極限に似るものの家」という作品で、屋根が岐阜県の形をしており、地面には岐阜県とその隣接県の地図が描かれています。

中に入ると……

コンロやソファ、ベッドなどたくさんの家具が、壁を貫通していたり逆さになっていたり、普通ではありえない状態で散りばめられています。

「意外性との遭遇で固定概念を覆す」というのが養老天命反転地のテーマ。

「極限で似るものの家」ではテーマをわかりやすく体験することができました。

さらに上を見上げると天井にまで家具が“置かれて”います。

一見鏡の世界が天井に広がっているように感じられますが、そこに映っていないのは自分だけ。

自分という存在が危ぶまれるような感覚はちょっとホラーのようでこわいけれど、あたりまえのことを改めて知覚するというおもしろい体験です。

 

そして、もう一つのメインパビリオンが、養老山脈をバックにすり鉢状に広がる「楕円形のフィールド」。

ここには、「極限で似るものの家」を9つに分裂した作品が散りばめられています。

すり鉢の中に一歩足を踏み入れると、平衡感覚も遠近感も失われて、まっすぐ歩くことさえままなりません!

養老天命反転地は水平と垂直が排除されていて、全てが傾斜面。

普段当たり前に使っている身体感覚を失った時に世界をどう知覚するのか? という問いを作者はわたしたちに問いかけます。

 

これは見覚えのある景色!

極限で似るものの家の一部分が飛び出してきたかのようです。

入場するときに配られるパンフレットには、作品をより効果的に体験するための「養老天命反転地:使用法」が記載されており、そこにも

●楕円形のフィールドを歩く時、「極限で似るものの家」の光景をできるだけ思い出すこと、そしてその逆も試すこと

とあります。

「さっきこういうものがあったな!」と過去の体験と結びつけることで、失ったバランスを取り戻すような感覚が味わえます。

 

黄色い入り口に吸い込まれるようにして杉田さんが入って行ったのは「切り閉じの間」。

中は真っ暗闇で先は全く見えません。

杉田さんは「暗い! こわいよ〜。」と言いながらもゆっくり両手を壁に沿わせながら進んで行くと、何かを見つけたようです。

光が差す天井を見上げた先にあったのは反転した日本列島。

楕円形のフィールドにはこの他に大小4つの日本列島がありますので、訪れた際はぜひ探してみてください!

 

身体感覚を揺さぶられるうちにだんだん怖いもの知らずになってきて、ずんずん進んで行く杉田さん。

地面には様々が言語で文字が書かれているのですが、その中に「死なないための道」というものがありました。

職員さんによると、荒川さんとギンズさんの使命は、誰もが産まれた時点で死に向かうという「天命(宿命)」を「反転(覆す)」こと。30年間に及ぶその研究の集大成がここ「養老天命反転地」なのです。

最後に職員さんに“インスタ映え”するスポットを教えていただいて、杉田さんもチャレンジ!

傾斜を利用することで、重力に逆らったような絵が撮れます。

「近年のSNSやメディアによる紹介の反響はとても大きいです。20年以上前になる1995年の開館当初にはなかった楽しみ方で、作者の荒川修作とマドリン・ギンズも予想もしなかった広がりに喜んでいると思いますよ。」と職員さん。

写真では見たことがあったけれど、実際に体験してみると想像を超える作品の意味の深さと、テーマパークとしての純粋な楽しさを味わうことができました。

無意識に固定観念にとらわれている大人にこそ体験していただきたいおすすめスポットです!

© 1997 Estate of Madeline Gins.  Reproduced with permission of the Estate of Madeline Gins.


養老天命反転地

住所:岐阜県養老郡養老町高林1298-2

営業時間:午前9時〜午後5時(入場は4時30分まで)

休園日:月曜日(祝日の場合はその翌日)、年末年始(12/29〜1/3)

入場料:一般/750円 高校生/500円 小・中学生/300円

HP:http://www.yoro-park.com/facility-map/hantenchi/

 

2018年02月23日作成
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