【飛騨市古川】御菓子所 田の下「生菓子」/岐阜のおやつ

岐阜県にあるお菓子屋さんで出会った美味しいおやつを通して、そのお店の歴史や作り手さんの想いなどを紹介していく「岐阜のおやつ」

まず最初にご紹介するのは、飛騨市古川町にある和菓子屋さんです。


御菓子所 田の下

昭和25年に飛騨市古川町に「田之下製菓舗」として創業。平成2年に、現在の場所へと移転したのを機に店名を「御菓子所 田の下」に改める。


飛騨古川といえば、鯉が泳ぐ瀬戸川、白壁土蔵や出格子の商家が連なる町並み、そして毎年1月15日に行われる「三寺まいり」や、4月19・20日に行われる「古川祭」の起こし太鼓などで知られています。

また、大ヒット映画「君の名は」に飛騨古川駅が登場したことでも一躍有名になりました。今回紹介する「御菓子所 田の下」さんは、そんな飛騨古川駅から車で5分ほどの場所にあります。

▶︎創業70年、地域に愛されてきた和菓子店

きれいに手入れされた庭と渡り石を備えた趣のある店構え。屋根から暖炉の煙突がにょきりと立っているのが印象的です。

駐車場も広いので、旅の思い出におみやげを買いに立ち寄るのにも便利ですね。

店内には、創業から70年を数え、ずっと地域の方々に親しまれてきた自慢のお菓子がずらりと並んでいます。

迎えてくださったのは、三代目を継ぐ田之下慎一さん。優しい笑顔にお人柄の良さが表れています。お菓子づくりで大切に心がけているのは、“手間をかけ、丁寧につくること”。

「現在、つくり手は私一人なので、大量につくるというよりは、季節ごとの生菓子を短い期間で変えていきながら一つずつ丁寧につくることで、お客様に楽しんでいただけるように務めています」。

▶︎看板商品は「山づと」と「麦っこ」

「山づと」1個110円、10個入り1200円

一年を通して人気が高い看板商品はこちらの「山づと」。ちなみに漢字では山苞と書き、山里からのおみやげ、という意味なんだそう。包みを開けてみると、意外にも洋風なことに驚きます。

こちらは北海道産の白小豆に刻んだ栗を入れて炊いた餡を、バター生地で包んで焼き上げたもの。お茶はもちろん、コーヒーともよく合います。また、夏の暑い時期は冷蔵庫で冷やして食べるのもおすすめです。

「麦っこ」1個120円、6個入り800円

そして、もう一つの人気商品は、皮に麦を煎って粉にした麦香煎(むぎこうせん)を使った珍しいお菓子の「麦っこ」。中には北海道産小豆と栗の餡がぎっしりと入っていて、甘くてどこか懐かしさのある素朴な味わいです。

実はこの「麦っこ」は、田之下さんが結婚前に奥様のご両親にあいさつに伺うことになったとき、「誠意を伝えるために、自分で考えたオリジナルのお菓子を持ってあいさつに行こう」と考え、初めてご自分で考案したお菓子なんだそう!

そんな隠れたエピソードを知ると、余計に美味しく感じられます。

▶︎洋菓子も充実。中でもブランデーケーキがおすすめ!

さらに、店内を見渡すと、なんとショーケースの中にはケーキも…!

フルーツロールやチーズケーキの美味しそうなこと!ちなみに、いちごの時季限定の「いちご大福」は、午前中に完売することもあるほどファンが多いんだとか。

「おかげさまでブランデーケーキも好評で、地元の方ももちろんですが、県外から発送の依頼もいただいています」と田之下さん。

ブランデーケーキ 1本1,300円

「自分ではそんなつもりはないんですが、どうやらブランデーがたっぷりなので、もっぱら大人の方に気に入っていただいているみたいです(笑)」。

そんな田之下さんの言葉通り、こちらのブランデーケーキは、しっとりとした生地にブランデーがよく染み込んでいて、確かに “大人のためのケーキ” という味わい。

口溶けが軽くて美味しいので、つい二切れ、三切れと手が伸びてしまいます。

▶︎季節の移ろいを感じる生菓子を茶寮で

そんな「田の下」さんで、ぜひとも味わいたいのは、やはり和菓子の王道ともいえる「生菓子」。たとえば春から晩春、初夏、真夏へと、少しずつ移ろいゆく季節に合わせて変わっていく生菓子は、その美しい色合いや形に季節を感じ取ることができます。

店内に併設された「茶房 月ヶ瀬」は、暖炉がある落ち着いた空間。ここで、お抹茶やコーヒーと一緒に生菓子をいただくこともできます。

「うちの庭のあじさいは白っぽいんですが、だんだん黄色や緑に変わっていきます。本物のあじさいが色が変わるのと同じように、うちの生菓子の『あじさい』も、少しずつ色が変わるんですよ」と田之下さん。

可愛らしいピンクと青色の花をつけた「あじさい」に、まるで今にも光りながら飛び立ちそうな「ほたる」、夏らしい鮎の焼印が押された上用まんじゅう…。

「季節や自然を感じて、それをお菓子として表現できる。そこがなにより、生菓子の面白いところですね」。

庭の草花に目を止め、虫の声に耳を傾けながら、一つ一つに職人の技と感性を込めてつくられる田の下さんの生菓子を、ぜひじっくりと味わってみてください。


御菓子所 田の下

住所:飛騨市古川町幸栄町8-21

営業時間:9:00~18:00

定休日:火曜、第1・3月曜

TEL:0577-73-5668
※電話注文にて、山づとやブランデーケーキなどの発送も可能です

WEBサイト:https://okashidokoro-tanoshita.com/

Instagram:@okashidokoro_tanoshita

P4台

2020年08月13日作成
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