【郡上】石徹白洋品店

郡上市の石徹白(いとしろ)地域にある小さな集落へ。曲がりくねった山道や林道を抜けてたどり着く、山深い場所にある「石徹白洋品店」さんを訪ねました。

石徹白洋品店さんは、地域で受け継がれてきた “民衣” である「たつけ」や「はかま」「かるさん」「越前シャツ」「さっくり」といった服の形をベースに、現代に合うようにリデザインして仕立てた服を販売しています。

お店は原則として2日前までの完全予約制での営業。ほかのお客様もいらっしゃらず、ひっそりと穏やかな時間が流れます。

中に入ると、大きな薪ストーブが。テーブルには、自分で「たつけ」が作れるキットや作り方の本、最高級メリノウールで編まれた暖かい靴下、石徹白の民話をまとめた絵本なども置かれています。

昔から石徹白の女性たちが手縫いで作ってきた「たつけ」や「はかま」、「さっくり」といった服は、すべて直線裁断・直線縫でできていて、布を無駄なく使うことができる和裁の知恵が詰まった服です。

そして、石徹白洋品店では生地の「染め」も自分たちの手で行っています。身近にある植物を採取して、草木染めや藍染を施した服の鮮やかで優しい色合いは、眺めているだけでも心が落ち着きます。

「私たちはこの石徹白で、この土地の人たちが生み出してきた文化の一つである “衣” を教科書として、“豊かさとは何か” を常に問いながら服を作り、ものづくりをしています」と、店主の平野馨生里(かおり)さん。

「すべては土から始まると思うんです。だから、私たちはここでお蚕さんを育てて糸をとり、羊を飼を飼って糸を紡ぎ、植物を採取・栽培して布を染め、藍を育てて藍染をする。そういったことを実践しています」。

2階に上がってみると、そこにもニットやスカート、パンツなどの洋服がずらりと並んでいました。その一つひとつが、この石徹白の文化を受け継ぎながら丁寧に、じっくりと人の手を経て生まれたものだと思うと、とても愛しくなります。

みなさんも石徹白洋品店さんを訪れて、実際にその手触りや着心地を確かめながら、お気に入りの一枚を見つけてみてくださいね。

※ 石徹白洋品店さんの商品は、「THE GIFTS SHOP」でもご購入いただけます。ぜひ、ご利用ください。

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ところで、お店を出た杉田さんは、おもむろにザッザッと目の前の草むらの中へ足を踏み入れていきました。

そう、そこには平野さんが飼っているヤギとヒツジが…!二匹ともとても大人しく、なでさせてもらいながら、すっかり癒されていた杉田さんでした。


石徹白洋品店

住所:岐阜県郡上市白鳥町石徹白65-18

WEBサイト:https://itoshiro.org/

TEL:0575-86-3808(休日 TEL:0575-86-3360)

MAIL:info@itoshiro.org

2020年12月13日作成
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