【THE GIFTS SHOP】松久永助紙店(美濃市)
美濃市の「うだつの上がる町並み」にある「松久永助紙店」さん。美濃和紙や和紙、和紙から作られる紙糸(かみいと)、和紙雑貨などの卸売を中心に、紙糸で作る靴下やタオルなどの製造販売も行っています。
今回はそんな松久永助紙店さんを訪れ、その歴史や美濃和紙を使った商品づくりについて、5代目の松久恭子さんにお話を聞きました。
▶︎美濃和紙をはじめとする和紙の卸問屋として創業
「こちらでお話ししましょうか」と案内していただいたのは、店舗の向かいにある立派な建物。中に入ると、そこにはなんとも歴史を感じさせる、趣のあるお部屋が!
「昔はこの場所が、美濃和紙の卸問屋の帳場として使われていたんです」と恭子さん。こちらで実際に使われていた番台や帳簿なども残っていて、昔使われていたという商標も見せていただきました。刷られている絵柄の、まるでお札のように細やかで繊細なこと!
「ここに描かれている植物は、紙漉(す)きに欠かせないネリ(粘液)として使われるトロロアオイです。中央の星のようなマークは、松久の”松”。店舗の屋根にある鬼瓦にもこのマークが使われているんですよ」。
松久永助紙店さんは明治9年に和紙の卸問屋として創業。障子紙などの手漉き和紙や原料などを扱い、大阪や東京まで販路を開拓します。「現在の『美濃和紙の里会館』がある辺りが昔は美濃和紙の職人が何千戸と集まる場所で、この辺りは問屋街だったんです。そして、和紙はここから長良川の川下にある川湊だった岐阜市の川原町などへと船で運ばれていたんですね」。
昭和9年には3代目松久永助さんが製紙会社「大福製紙」を創業し、卸売だけでなく自ら製造にも携わるようになりました。
「美濃和紙の特徴は、なんといっても薄くて強いこと。大福製紙ではその特徴を活かして、機械抄(す)きでいろいろな製品を作っています。実はマスキングテープや、両面テープ、掃除機のダストパックの原紙なども美濃和紙なんですよ!」
▶︎和紙で作る「紙糸」の開発と自社商品づくり
そんな松久永助紙店さんが、和紙で作る糸「紙糸」の開発を始めたのは35年ほど前のこと。「すでに西陣織の金糸や銀糸に美濃和紙が使われていたので、100% 和紙で糸が作れないかとの思いから開発が始まりました。でも、そもそもは紙なので、やはりちぎれやすく、試行錯誤が続きました。そこでヒントになったのが、実はお札を巻く紙だったんです」。
お札をぴったり巻くために伸縮性のある紙テープの「帯封」を作る技術を応用して、丈夫な紙糸を作ることに成功したのだそう。さらに丈夫な紙糸を作るために商品化を進めたのが、靴下です。
「靴下は製造工程で糸が強く引っ張られるため、特に強度が必要とされる難しい商品です。でも逆に、靴下を作ることができればどんな商品も作れるだろうと、関市にある靴下工場さんと協力して開発に取り組んだんです。専用の紙糸を作り、靴下の試作品を作って強度を確かめ、また紙糸を改良して…。紙糸と靴下づくりを同時に進めて、ついに靴下が作れるほど強度のある紙糸が開発できました」。
松久永助紙店さんでは、こうして開発した紙糸を使って10年ほど前から自社のオリジナル商品作りもスタートしました。
工場の一角にある店舗には、そんな紙糸や美濃和紙を使った商品がたくさんそろいます。便箋やポチ袋などの紙小物はもちろん、美濃和紙の紙糸、紙糸で編んだ靴下やタオル、マスク、カバン、アクセサリーまで…!
それにしても「和紙から靴下やタオルができる」なんて驚きですよね…。お店を覗いていると「こんなものも美濃和紙からできているんだ!」とその幅広いラインナップに驚きます。
▶︎紙糸で作られたオリジナル商品
ここで、松久永助紙店さんの紙糸を使ったおすすめのオリジナル商品をご紹介!
渋みのある色合いがとても素敵な紙糸「Kamito」は、編み物や織物などに使えます。ちょっと変わったところでは、卒業制作などの作品の材料として学生さんが買われることもあるのだそう!
Kamito 各¥550(税込)
商品開発の先駆けとなった紙糸の靴下は、なんといっても通気性が良さがポイント。紙糸は「吸放湿性」が高いため、夏は湿気を放出して蒸れにくくさらりと履け、冬は湿気を吸収して空気の層が足を包んでくれるので暖かく、一年中、いつでも快適な履き心地が実感できるんです!
美濃和紙靴下 各¥1,320(税込)
「実は、販売した当初はすぐに破れるんじゃないかとか、洗濯ができない使い捨ての商品だとかと誤解されることもあったのですが、今はその丈夫さや履き心地の良さを知って愛用される方が増えています。靴下は一番リピーターの方が多いですね」と恭子さん。
続いて、こちらも看板商品である美濃和紙タオル。軽くて、吸水性に優れ、さらに速乾性や消臭効果もあります。ちなみにこの美濃和紙タオルは、優れた吸水性を持ち、独自の品質基準に合格したタオルとして「今治タオルブランド」の認定も受けているんです!
美濃和紙 フェイスタオル 各¥1,320(税込)
使い始めは美濃和紙ならではの程よい硬さで、使うほどに柔らかくなっていきます。「使い古したタオルは、ふきんとして使うのもおすすめですよ!このタオルでシンクを磨くとピカピカになる、と教えてくれたお客様もいらっしゃいます。デコボコとしたミクロの繊維のおかげかもしれませんね」。
かわいらしい紙糸のアクセサリーにも注目!こちらのイヤリングやピアスは、ニットジュエリーブランド「pinchos(ピンチョス)」さんとコラボレーションしたもの。ある展示会でpinchosさんのことを知った恭子さんが声をかけたことから、こんな素敵な紙糸を使ったアクセサリーが誕生したんだそう。
ぶどうピアス/イヤリング ¥6,270、ボールピアス/イヤリング 各¥4,400(税込)
耳元でゆらゆらと揺れ温かみのある紙糸で編んだボールやぶどうのモチーフ。きっと、どんなコーディネートにもさり気なく華を添えてくれるはず!
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実は恭子さんが5代目を継いだのは、5年ほど前のこと。「美濃和紙作りの職人さんや工場の仕事を学んでいく中で、美濃和紙や紙糸のことをもっと広く知ってもらうことが必要だと感じたんです。それで、自社製品のロゴを作ったり、岐阜県の事業に参加したりするようになりました。最近は、日本のいろんな地域の産業ともコラボレーションしているんですよ!」。
「いろんな商品を通じて、美濃和紙を知ってもらって、美濃にも足を運んでくれる人が増えたら」と語る恭子さん。
そんな思いが詰まった、松久永助紙店さんのアイテム。伝統ある美濃和紙が、私たちの暮らしを心地よくしたり、彩りを加えてくれたりします。ぜひ、THE GIFTS SHOP店頭やオンラインストアでご覧になってみてくださいね!
松久永助紙店
住所:岐阜県美濃市本住町1929
営業時間:9:00〜17:00
定休日:土・日・祝日
TEL:0575-33-0007
WEBサイト:https://www.kumojyo.co.jp/index.html
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