【さかだちテイクアウトランチインタビュー】田中美里さんの“チュラパンスティールバンド物語”/後編

さかだち編集部が気になっている人と一緒お昼ごはんを食べながら、
ざっくばらんにいろんなことを聞くゆるい企画
「さかだちランチインタビュー」
今回はランチをテイクアウトしてある場所へ…。

トリニダード・トバゴで生まれた珍しい打楽器
「スティールパン」の音色に魅せられて
アマチュアの「チュラパンスティールバンド」を
結成してしまった田中美里さんに会ってきました!

※ランチインタビューvol.1「なめみそさん、アルパカ愛を語る。」の記事はこちら
※ランチインタビューvol.2 瀧知子さん「今日からぼくがクッキング」出版!の記事はこちら

“世界で最も心を癒す楽器”といわれるスティールパンの音色に惹かれて、「チュラパンスティールバンド」を結成した田中美里さん。前編では、スティールパンの特徴や、田中さんとスティールパンとの出会いについて伺いましたが、後編ではバンド結成までの経緯や、メンバーが大切にしていること、活動についてなどを伺います。

※「田中美里さんの“チュラパンスティールバンド物語”/前編」の記事はこちら

「いつまでもこのまちで、いろんな人の心に寄り添って演奏をしていきたい」

【一緒にランチをした人】 田中美里 さん

岐阜市生まれ。18歳から演劇を学び、20歳から5年間、東京で演劇の舞台に立つ。帰郷後、縁があったスティールパン奏者の宮本まいこさんを岐阜に招いて、2016年にスティールパンのライブ、2017年に体験会を開催したのをきっかけに、2018年に岐阜でアマチュアの「チュラパンスティールバンド」を結成。現在は、土曜日のみ不定期でオープンする小さなカフェ「kahu」も営業。
※「kahu」さんをご紹介した記事はこちら

【ランチをテイクアウトしたお店】 fermerito(フェルメリト) Lunchbox&Cafe

2021年3月に旧岐阜市役所近くにオープンしたカフェとテイクアウトのお店。“発酵”をテーマに、麹や味噌、酒粕などの発酵調味料を使った料理が味わえます。ランチはおもにパスタが3種類。テイクアウトはランチボックスやサンドイッチ、スイーツ、ドリンクが充実しています。
※「fermerito Lunchbox&Cafe」をご紹介した記事はこちら

***

「スティールパン、叩いてみない?」って誘われて、やってみたらすごく楽しくて!

-では、私も「fermerito」さんのサンドイッチをいただきながら、さらにいろいろ聞かせていただきますね。

田中さん それ、タマゴサンドですか?美味しそう!

甘酒入り卵焼きに包んだ塩麹タマゴサラダ 330円、小海老と塩麹のポテトサラダ 350円、アイスコーヒー 320円(いずれもテイクアウト価格)

-これ「甘酒入り卵焼きに包んだ塩麹タマゴサラダ」っていうメニュー名に惹かれて思わず買っちゃいました!卵焼きの中にまた卵のサラダが入っているっていう…。それにしても、まるでクレープみたいな美しい焼き色の卵焼き!見るだけでもう、美味しいのがわかりますよねー。そして、予想通り、ふわっふわです!

田中さん えー。次はそのサンドイッチもテイクアウトしたいです!

-ぜひ!そういえば「fermerito」さんはサンドイッチもお弁当も結構ラインナップが変わるので、メニューを Instagramでチェックして、気になるメニューがあったら早めに行くのがおすすめです。

田中さん わかりました!(笑)

-さて、では話の続きを。友人のミュージシャンのカナミネケイタロウさんに2015年に作ってもらった「ちゅらこのぱんの唄」がきっかけでスティールパンに出会ったわけですが、そこからどうやってバンドを結成するまでになったんでしょう?

柳ケ瀬のサンデービヂングマーケットでのバンドのライブ演奏の様子

田中さん 「ちゅらこのぱんの唄」の演奏に参加してくださったスティールパン奏者の宮本まいこさんと、カナミネケイタロウさんを岐阜に呼んで、2016年に「cafe HIFUMI」さんで演奏会を開いたんです。岐阜でも、もっとスティールパンという楽器や音色を知ってもらう機会があればいいな、と思って。

-スティールパンを知らない、実際に音色を聴いたことがない、という方はまだまだ多いですよね。

田中さん そうなんです。それ以降も宮本さんとご主人でパーカッショニストの中丸達也さんを招いて「Honky Tonk」さんや「ビッカフェ」でライブを企画して。そしたらあるとき、宮本さんに「スティールパン、叩いてみない?」って誘われて。やってみたら、30分くらいで1曲演奏できたんです。それが、すごく楽しくて!

-もともと、何か楽器を演奏したことはあったんですか?

田中さん いえ、ほとんどないんですよ。スティールパンも音楽として聴くのが好きだったので、まさか自分が演奏するようになるとは思ってもいませんでした。 

-それが今ではこんな立派なバンドを率いるまでに…!

田中さん そうなんです!もっといろんな人が、実際に叩いてみたり、演奏ができたら面白いだろうなと思って、宮本さんご夫婦とこの岐阜善光寺さんや、岐阜のいろんな場所で体験会を開催してみたら、演奏したいというメンバーが集まって。ついに「チュラパンスティールバンド」を結成することになったんです。

忘れられない初めてのライブが、今も私たちのバンドの原点になっています。

-バンドは最初、何人で始めたんですか?

田中さん 2018年に9人でスタートしました。今は、小学生から大人まで、17人のメンバーがいます。子どもと大人が半々くらいかな。日本ではスティールパンを演奏している人は30代以上が多くて、子どもと大人が半々で演奏をしているバンドはなかなかないようです。

-そうなんですね!先ほど練習風景を見させてもらいましたが、とても和やかな雰囲気でしたね。

田中さん みんな、このバンドで子どもと大人が一緒にやることが大切だと思ってくれていて。優しくてあったかいというか。それにスティールパンという楽器が、メンバーみんなをつないでくれているんだと思います。

-ちなみに、うまく演奏するコツはあるんでしょうか?

田中さん とにかく繰り返し練習して、音楽を体に入れていくしかありません。子どもたちはどうしても、練習に大人より2倍、3倍の時間がかかってしまいます。でも、みんな本気で練習していて、今では大人顔負けで演奏しています(笑)。

田中さん 実は「チュラパンスティールバンド」は、2018年9月15日にこの岐阜善光寺さんの「夜まるけ」(岐阜善光寺で毎月15日に開催されている門前市「善光寺大門まるけ」の夜バージョンとして企画されたイベント)で初めてお披露目ライブをする予定だったんです。

-そうだったんですね…。

田中さん でも「夜まるけ」の当日の朝にご住職の松枝秀晃さんが亡くなられてしまって…。松枝さんの息子の秀空くんと娘の杏和ちゃんもバンドのメンバーで、松枝さんは前日の夜にも演奏を楽しみにしてると話していたそうなんです。当日、イベントは中止になりましたが、二人が「楽しみにしていたお父さんに演奏を聴かせたい」と言ってくれて…。お葬式の2時間前に、本堂にスティールパンを並べてみんなで演奏をしたんです。それが、私たちのバンドの初めてのライブになりました。

-なんと言葉にしていいか…。でも、きっと松枝さんは楽しみにしていた演奏が聴けて喜んでいたでしょうね。

田中さん はい、そう思います。それに、演奏しているとき、秀空くんも杏和ちゃんも笑顔だったんです!それが嬉しくて…。たぶん、そのことは一生忘れられないと思います。もちろん、本人たちはすごくショックを受けていたと思うんですが、それでも、演奏のときは楽しそうで…。これが音楽の力なんだなあ、って思いました。その場で演奏を聴いていたたくさんの人も、演奏が終わって「良かったよ。ありがとう!」って言ってくださって…。

-きっと心を癒してくれる、すごく素敵な演奏だったんですね。

田中さん あの日の演奏は、忘れられない私たちのバンドの原点です。だから私たちは、“誰かのために演奏すること”、“誰かの心に音楽を届けること”を大切にして、いつまでもこのまちで、いろんな人に心に寄り添った演奏をしていきたいと思っているんです。

-ぜひ、これからもずっと、岐阜で素敵なスティールパンの音色を響かせてください!今後の活動やライブの予定はありますか?

田中さん スティールパンの魅力に気軽に触れてもらえるように、毎月、小学生のクラスと中学生以上のクラスに分かれて、体験ワークショップを開催しています。Instagramで告知をしていますので、興味のある方はぜひ、参加してみてください!そして、毎年9月15日に岐阜善光寺で開催される「シューコーまるけ」では必ず、ライブ演奏をしています。

-今年も演奏されるんですね!

田中さん そうなんです。毎年、松枝さんが好きだったRCサクセションの「雨上がりの夜空に」を必ず演奏していて。お寺で、しかもスティールパンでロックを演奏するって、なんだか少し面白いですよね。

-たしかに。でもそれも、あの松枝さんらしいというか(笑)。きっと、今年も空から笑って演奏を楽しまれることでしょう。私もぜひ、みなさんの演奏を聴きにきたいと思います。そしてこれからもますます、「チュラパンスティールバンド」のみなさんの活躍を楽しみにしています!今日は本当にありがとうございました!


チュラパンスティールバンド

Instagram:@churapan.steelband

※出演情報などは、公式LINEアカウント@274hdgyl にて配信中。出演依頼は、LINEまたは、churapan.steelband@gmail.comまでご連絡ください

fermerito Lunchbox&Cafe

住所:岐阜市端詰町42-2 かとれやハイツ1F

営業時間:11:30〜17:00(水曜は〜14:00、土曜は〜16:00)

TEL:058-265-6207

Instagram:@fermerito_lunchbox_cafe

岐阜善光寺「シューコーまるけ」

開催日時:2021年9月15日(水)16:00〜20:00

開催場所:岐阜善光寺(岐阜市伊奈波通1-8)

Instagram:@zenkoji_daimon_maruke

2021年08月23日作成
関連記事