《TOFU magazine 旅する岐阜 07》/【大垣市】Hande und Stitch

TOFU magazine 07」に掲載した特集記事をご紹介しています。
岐阜県の42市町村を1号につき一つずつめぐる特集「旅する岐阜」。第7回は大垣市を訪れました。

《旅する岐阜07 Ogaki》

独特の世界観と温もりが共在する
無二のアニマルトロフィー

アトリエの花村さん

壁に飾られたシカやサイ、キリン、インパラ、フラミンゴ…。

大垣市内にアトリエを構える「Hande und Stitch(ハンドウンドステッチ)」の花村一晃さんが布や革で作リ出す動物は、実にクールだ。けれど、その表情はどこかユーモラスで、幼い頃にずっと大切にしていたぬいぐるみをふと思い出すような、懐かしさと温もりがある。

花村さん

「もともとはファッションの道を目指していたんです」。洗いざらしのシャツに丸メガネ、ストローハットが似合う花村さん。訥々と話す口調は、人柄通り穏やかだ。

大阪芸術大学テキスタイルデザインコース専攻中に、ファッション雑誌「装苑」のコンテストで作品が「装苑賞」にノミネートされた。

「近くからだけじゃなく、遠くから見ても動きがある〝かっこいい〞服を作るために、もっと形を勉強しなさい」。審査員のヨージヤマモトさんから掛けられた言葉に触発されて上京し、文化服装学院の夜間コースに入学。昼もアパレルメーカーで働き、ファッション漬けの3年間を過ごした。

雑誌の取材ページ

しかし卒業後、自身のブランドを立ち上げたが軌道に乗らず、CMなどの衣装や着ぐるみを制作する仕事に就いたが、1年半ほどが経つと、ふつふつと仕事への迷いが生じた。

そこで心機一転、妻と二人、知人が住むドイツのハンブルグに渡り、1年間滞在。訪れた蚤の市やアンティークマーケットで、ハンティングトロフィーと呼ばれる動物の剥製や、シュタイフ社のぬいぐるみに心が惹かれた。

シュタイフのぬいぐるみ

衝動的に、日本から持参していた反物で作ったシカが、“アニマルトロフィー” の第一号となった。

帰国した2011年に故郷の大垣市で制作をスタート。展示販売やワークショップを開催し、企業ともコラボ制作するなど活動の幅を広げた。2017年には「minneハンドメイド大賞グランプリ」を受賞。メディアからの取材も増え、書籍も出版すると、全国各地にファンが広がった。

アトリエ
ミシンに向かう

アトリエの作業部屋に積まれた夥しい数の生地。ファーやフェルト、デニム、古着も。型紙を起こし、生地を選び、裁断して縫い、綿を詰めるまで、制作はすべて手仕事で行う。

人生に無駄はない。

ファッションの世界で培った知識と技術が活きている。動物の毛並み、質感、しわ、角の形一つにもリアルさを追求する反面、配色や表情に遊びを加える。

アニマルトロフィー

「剥製の迫力とぬいぐるみの優しさ、その中間くらいを目指しています。これが飾ってある風景が、映画のワンシーンになるような、かっこいい世界観を楽しんでもらえたら」。

圧倒的な存在感で空間を非日常に変える。彼のアニマルトロフィーは、そう、たまらなくかっこいい。


アフリカ象 LLsize 65,000円、シマウマ Ssize 8,500円、ウサギ Ssize 8,900円 ※すべて税別

Hande und Stitch

https://www.hande-und-stitch.com/
インスタグラム:https://www.instagram.com/hande_und_stitch/
オンラインストア:https://minne.com/@hand-stitch/_

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2020年10月04日作成
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