発酵ツーリズム東海「うまみの聖地巡礼ツアー【岐阜便】」開催レポート/後編

2025年5月18日に開催された「うまみの聖地巡礼ツアー【岐阜便】」。地域に根付く多様な“うまみ”を集結させ、東海ならではの発酵文化を体験するイベント「発酵ツーリズム東海」のフラッグシップツアーです。今回は、その様子を前後編にわたってたっぷりレポート!

【前編】では、東京駅から“発酵新幹線”で名古屋に向かい、その後はぎふメディアコスモスで「発酵マルシェ岐阜」や7月13日まで開催中の「うまみの聖地巡礼展 ~岐阜会場特別展~」を満喫。想像以上に発酵づくしのプログラムにすっかり圧倒されてしまいましたが、後編でも引き続きツアーの様子をお届けします!

ぎふメディアコスモスを後にした一行は、再びバスに乗り込み岐阜市の郊外へ。

到着したのは、のどかな田園風景の中にある白木恒助商店さん。発酵新幹線でもいただいた古酒「達磨正宗」を手がける蔵元を見学します!

3メートル以上はある大きな蔵の扉を開けると、中にはおよそ60個もの古酒のタンクが所狭しと並んでいます!それぞれのタンクには、醸造を始めた年が記されていて、例えば平成6年には「プレステ販売」「細川首相辞任表明」など、その年の出来事も添えられているのがユニークです。

昭和40年代、年数を重ねた一升瓶を6代目が偶然発見し、その美味しさに魅了されたことから始まった白木恒助商店さんの古酒造り。それから何年もさまざまな酒を造り続け、熟成させ、試行錯誤の末に古酒・達磨正宗が生まれました。

蔵の外には熟成が進んだ古酒がコンテナに貯蔵されていて、中には昭和49年製造というかなりの年代物も。味のあるラベルにも、積み重ねてきた歴史を感じます…!

そして、お楽しみの試飲も!いただいたのは、「達磨正宗」の原酒、五年熟成、十年熟成、二十年熟成。白木恒助商店さんの古酒は、最近の流行りであるさっぱり、フルーティーな日本酒とは真逆をいく、濃厚でコクのある味わいが特徴です。

「十年熟成はきれいに年を重ねた感じで、意外と飲みやすい!」「二十年はやはり独特の重厚感がありますね」などなど、参加者同士で感想をシェアしながら味わいます。この日“古酒デビュー”した方も、古酒の美味しさにすっかり感激した様子でした。もちろん、蔵併設の直営店でお土産もしっかり購入して、次の目的地へ!

続いて向かったのは、たまり醤油や豆味噌を手がける山川醸造さん。蔵に入った瞬間、濃厚なたまり醤油の香りが鼻腔をくすぐります…!

そもそもたまり醤油とは、大豆のみを使い、濃口や淡口よりも少ない量の水で仕込んだ醤油のこと。色の濃さから塩辛いと思われがちですが、濃口と塩分量は同程度。1年以上かけてじっくり熟成させるので、旨み成分がたっぷりで少量でもコクが出ることが特徴です。

ずらりとならぶ木桶も圧巻!現在、醤油や味噌の製造にはプラスチックやステンレスのタンクを使うのが主流で、木桶仕込みはとても珍しいのだそう。山川醸造さんでも一度は樹脂の容器を使ってみたものの、全く別の味になってしまったことから、木桶に棲みつく微生物が旨みを生み出していることを痛感し、再び木桶を使い続けているのだそう。

山川醸造さんでは、たまり醤油や豆味噌のほか、さまざまな用途で使えるユニークな調味料や、醤油スイーツなどの開発にも力を入れています。そんなオリジナル商品が揃うショップでお買い物も楽しんで、2つの蔵見学は終了。ツアーもいよいよ大詰めです!!

ツアーの最後をしめくくるのは、岐阜の夏の風物詩、鵜飼観覧!

「うかいのりば」に到着した一行は、まずは同じ川原町エリアにある「長良川デパート」さんで岐阜の地酒やクラフトビールをゲット。準備万端で船に乗り込みます!

岐阜に住んでいてもあまり乗る機会はない鵜飼観覧船。初体験の人はもちろん、何度か乗ったことがある人も、その非日常的な空間にテンションが上がります!

そして、いよいよ鵜飼船が出船すると、同時に笛や太鼓のお囃子が始まりました!そう、今回の鵜飼観覧は、船上の宴席「船遊び」も楽しめるスペシャルバージョンなんです!

優雅な音色に気分が高まったところで、まずは乾杯!夕食は、川原町にある鮎料理の名店「川原町泉屋」さんの「発酵ツーリズム特別鮎弁当」。頭から骨まで食べられる炭火焼・塩鮎焼、若鮎の天ぷら、鮎の熟れ寿し、天然鮎の魚醤で味付けした豚肉、鮎ごはん…と、まさに鮎づくし!特に、鮎の熟れ寿しは一般的なオスと子持ちのメスの2種類あり、食べ比べながら味わうことができました。

長良川デパートで買い込んだ日本酒やクラフトビール、焼酎などもみんなで分け合い、船上で宴会がスタート!

豪華な鮎弁当や地酒に舌鼓を打ちつつ、舞妓の喜久有(きくゆう)さん、幇間(ほうかん)の喜久次さんによる華やかな舞にうっとりと見入ります。さらに、硬貨を回して遊ぶお座敷遊びも体験。お酒もほどよく回って、ツアー参加者同士の会話も弾み、船上は一層にぎやかな雰囲気に!

そんな中、鵜飼漁の始まりを告げる花火が夜空に打ち上がり、いよいよツアーのクライマックスである鵜飼漁がスタート!

日が落ちて真っ暗になった長良川に、篝火(かがりび)を灯した鵜舟が現れました!鵜匠さんが手縄を巧みにさばき、鵜とコミュニケーションを取りながら鮎を捕えさせます。

すると、一羽の鵜が鮎を捕らえました!鵜匠さんは素早く鵜を引き寄せ、鮎を獲りだします。鵜匠さんと鵜の息の合った漁に、目が離せません!

フィナーレは6艘の鵜舟が川幅いっぱいに横一列になり、一斉に鮎を浅瀬に追い込む「総がらみ」!織田信長や徳川家康らにも愛されたという長良川の鵜飼。その幻想的かつ迫力のある光景に、ツアー参加者も思わず歓声を上げながら釘付けになっていました!

こうして、1日をかけてどっぷりと“発酵”の世界に浸った「うまみの聖地巡礼ツアー【岐阜便】」のプログラムが終了。本当に、さまざまな角度から発酵の面白さを大満喫できました!

発酵ツーリズム東海では、7月13日まで東海地方の各地で“発酵文化”をテーマにしたプログラムが行われています。ぜひ、公式サイトをチェックして、みなさんも発酵の魅力に触れてみてくださいね!


【終了しました】発酵ツーリズム東海「うまみの聖地巡礼ツアー【岐阜便】」

開催日:2025年5月18日(日)

旅程:東京駅=東海道新幹線出発=名古屋駅=みんなの森 ぎふメディアコスモスで発酵展&マルシェ=山川醸造=白木恒助商店=鵜飼観覧船乗船・発酵弁当・観覧

主催:発酵ツーリズム東海実行委員会

共催:岐阜市、半田市、東海旅客鉄道株式会社、名古屋鉄道株式会社、中部国際空港株式会社

WEBサイト:https://tokaihakko.net/programs/674e5ddd421aa9000123e242

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2025年06月10日作成
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