【岐阜】日本泉酒造/さかだち社会見学

JR岐阜駅の南口に、日本酒を作っている場所があるというのをご存知でしょうか?

酒造があるのは南口を出てすぐ目の前の「日本泉ビル」。

一見酒蔵があるとは思えないのですが、ここの地下で「日本泉」さんのお酒が作られており、事前予約で見学することができます。

 

入り口には確かに「酒造見学・試飲どうぞ」の看板が!

通信制の高校と同じ入り口から入るので、学生さんの姿も見かけられ、酒造見学に来たとは思えない不思議な感覚です。

 

1階には日本泉さんの直売所が入っており、こだわりの岐阜の地酒がたくさん並びます。

「織田信長」や「豊富秀吉」など岐阜ゆかりの戦国武将のシリーズや、日本泉さんならではの「ふなくちとり」のシリーズなど、駅前という立地からお土産にも最適です。

 

さて、早速地下の酒蔵に案内していただきました。

「地下の酒蔵」と聞いて薄暗い部屋をイメージしていたのですが、意外にもすっきりと明るく現代的な設備です。

地下に酒蔵があるのは広島と岐阜の全国でたった2つだけ。大変珍しい場所なのです。

もともと地上に酒蔵を構えていましたが、JR岐阜駅前の再開発を機に取り壊しが決まり、規模を縮小して地下に場所を移しました。

地下は夏でも涼しく一定の温度が保たれるため一年中搾りたてのおいしい生酒を製造することができます!

 

 

純米酒は玄米を精米するところから始まり、洗米・浸漬・水切・蒸譲・製麹・酵母の仕込み・もろみの仕込み・上槽・貯蔵を経てびん詰めされ、わたしたちの手元にとどきます。ここでは米を洗う洗米の工程からびん詰めまでを全て行なっています。

 

まず始めに米のまわりについている糠(ヌカ)を落とす作業。洗米機にかけるか、手洗いすることも。巨大な洗米機では最大100kgの米を洗うことができます。

続いて、洗った米は水につけて「浸漬」させます。日本泉さんでは「限定吸水」という時間を区切った浸漬をされています。この吸水の時間で出来上がりのお酒の味が変わってくるのだそうです。

このあと、米は蒸し器にかけられ45分ほど蒸されます。

 

ちなみに、こちらが原料となる米。神戸の「山田錦」という品種で、35%米といって、米の周りが65%削られています。

まん丸で半透明の米粒はとてもきれい!

米は中心になればなるほど甘いので、これを原料に作られた日本酒はまろやかな口当たりになります。

 

蒸した米を冷ました後が日本酒づくりの一番大切な工程、製麹(せいぎく)です。

この部屋で48時間、つきっきりで温度管理をしながら酵母を育てます。48時間休むことなく面倒を見なくてはならないので、交代勤務で夜勤になることも。他の菌が入り込まないよう、温度は5度前後に保たれ綿密に管理されています。

 

続いて酒母、麹、蒸米、水を混ぜて、もろみを仕込みます。

日本泉さんでは、地下100メートルから組み上げた長良川の伏流水をタンクの周りにまわすことで冷却しています。

お酒造りにはきれいな水が命。日本泉さんの酒造がある場所の住所は「清水」というくらい水がきれいでお酒造りに適した環境です。

発酵させる期間は約30日間で、この日見せていただいたのは20日目のタンク。ふつふつとあぶくが湧き上がり、酵母が生きているのを感じられてとてもおもしろかったです!

 

こうして完成したもろみは、上槽(じょうそう・あげふね)といって、生酒を絞り出す工程にかけられます。

現在では多くの酒蔵がアコーディオアン型の蛇腹の絞り機を取り入れていますが、ここでは昔ながらの「木舟(きぶね)」と呼ばれる絞り機を使っています。

地上に酒蔵があった時には倍の大きさほども会った木舟ですが、地下に場所を移す時に切って小さくしたそうです。

 

舟の部分にもろみを流し込み、舟口から絞り出されたものが生酒にあたります。日本泉さんの「ふなくちとり」シリーズの名前の由来はここから来ています。

 

一通り醸造工程を見学したあとは、日本酒の試飲の時間。

試飲室に移動して5種類の吟醸酒(ふなくちとりシリーズ)を味比べさせていただきました。

 

写真の一番左が、酒造を見学した際に最後の工程(上槽)で濾し出された「にごり生原酒」。

フレッシュですっきりとした味わいが特徴でお米の舌触りが感じられます。

 

続いて、生原酒の上澄みの部分である「無濾過生吟醸」。こちらも切れ味がよく、最初にいただいたにごり生原酒に近いすっきりとした味わいでした。

 

こちらは純米吟醸の「無濾過生原酒」。最初の2つの吟醸よりも飲みやすく。フルーティーな味わいが特徴です。

通常お酒はしぼってからお店に出すまでに炭素濾過の後、加熱殺菌を2回行い酵母の働きを止めることで、長期的な保存が可能になります。しかし、そうすることでしぼりたてならではのフレッシュさやフルーティーさが失われてしまうことから、日本泉さんでは無濾過、無火入れで醸造されているのが特徴。通常日本酒は冬季に製造したものを貯蔵して年間を通して販売しますが、日本泉さんは地下に酒造があり、春秋も酒造りをできることから無濾過、無火入れが実現できているのです!

 

そして最後にいただいた2種類はどちらも見学の際に見せていただいた「山田錦」を原料にした日本酒。

山田錦は最高の原料米と呼ばれているお米で、それを磨き4割、つまり6割を削り落として使っている贅沢な逸品です。

さらには純米酒なので、醸造アルコールを添加していない純粋にお米を発酵させて作られています。醸造アルコールを添加していないということで、アルコール度数が低いのかな?と思い質問してみると、必ずしもそういうわけではないのだそう。

 

酒蔵見学でご説明いただいたようにお米の中心部を使っているため、驚くほどまろやかで口当たりがよく、飲みやすいお酒でした。

女性にも人気で、これなら日本酒が得意でなくてもおいしく嗜めそうです!

 

5種類も試飲させていただいて、すっかりほろ酔い気分。

酒造見学をしてから試飲させていただくと、味の表現がわかりやすく理解が深まりました!

日本酒好きの方はもちろんのこと、酒造の方がとても親切に解説してくださるので初心者にもおすすめです。

酒造見学は事前予約が必要ですが、直売所でのお買い物と試飲はいつでも楽しめますのでぜひお立ち寄りください。

 


日本泉酒造

住所:岐阜市加納清水町3-8-2

営業時間:9時〜17時

定休日:日曜

酒蔵見学:20分・無料・事前予約

電話:058-271-3218

HP:http://www.nihonizumi.co.jp/

2017年11月13日作成
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